2016 Fiscal Year Annual Research Report
Environmental Construction of Play with High Quality which Leads to Children who are " Fully Playable"
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26350715
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
鈴木 裕子 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (40300214)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 遊び込める / 遊び / 遊びの質 / ドッジボール / 心理社会的効果 / ひと,もの,こと / 丈夫なこころ,賢いからだ / 尺度開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,幼児における遊び込めるとは何か,遊び込めるという状況を規定する要因は何かを,尺度開発を手がかりとして明らかにした。研究Ⅰでは、幼稚園教諭と保育士315名による、幼児の「遊び込める」状況を捉えた529のエピソード事例から、「遊び込める」行動様式を収集し43の尺度候補項目を選出した。研究Ⅱでは、43項目の質問紙を用いて、139名の保育者を対象に278名の幼児についての観察評価を実施した。因子分析によって,幼児の「遊び込める」は,「受容,共感,応答の循環」「環境への能動」「探求への意欲」「創造,想像の収束と実現」「親和と共有」の5因子23項目によって構成されることが明らかになった。研究Ⅲでは本尺度の信頼性と妥当性を検討し、高い水準の良好な結果が得られた。 続いて,幼児の身体的な活動,特に自由遊びのなかでのドッジボールを対象として,遊び込める環境を構築する「質の高い遊び」について,尺度を利用して検討した。その結果, 2015年10月~3月までの5歳児のドッジボール遊びには,保育者介入期,保育者場面援助期,子ども中心期,子ども主導前期,子ども主導後期,ゲーム展開期の6つのフェーズが見られた。また,男児Aにおいて,各因子点が異なるフェーズで上昇することが示され,男児Aが,ひと(他児),もの(ボール,ルール),こと(トラブル)に遭遇し,遊び込む状況が生まれ深まっていく構造が捉えられた。幼児にとって,他者との調整をしながら状況を再構成したり創意工夫したりする行動に至るには時間がかかることがわかった。「遊び込める」プロセスとは,子ども自らが,自らを,自らの遊びの中心に据えていくプロセスと捉えられた。幼児期における運動遊びが,「丈夫なこころ,賢いからだ:a resilient mind and inquisitive body」を育くむ機会となり,心理社会的効果が認められた。
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Research Products
(6 results)