2015 Fiscal Year Research-status Report
動画映像の観察に基づいて運動経過を把握する能力に関する研究
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26350720
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
野田 智洋 高知大学, 教育研究部医療学系 医学教育部門, 講師 (00218330)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
幸 篤武 高知大学, 人文社会・教育科学系, 助教 (00623224)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 動画映像 / スローモーション / デジタル教科書 / 運動観察 / 運動学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は、運動の学習者に連続写真や動画などの映像情報を観察させた場合、運動経過をどの程度把握することができるのかについて、提示方法や学習者の年齢の違いに基づいて実験的方法を用いて研究を行ってきた(野田ほか, 2008, 2009, 野田, 2013)。映像情報を学習者に提示して運動経過を把握させるという、教科体育における極めて一般的な学習指導の可能性と限界について明らかにすることが必要だと考えたからである。本研究では、電子黒板やデジタル教科書で観察させる動画映像の提示の仕方が運動経過を把握する能力に与える影響について検討し、どのような再生速度の動画を提示すれば、学習者が最も理解し易いかを判断するための基礎資料を提供することが目的となる。 そのため、A:通常再生1回、B:通常再生3回、C:1/3スローモーション再生、の3種類の動画映像の観察に基づく再生課題を行わせ、以下の3点を明らかにすることが求められる。 ① 通常の再生速度による動画の反復観察は、再生課題の得点にどのような影響を与えるか。 ② スローモーションで再生された動画の観察は、再生課題の得点にどのような影響を与えるか。 ③ 被験者の年齢は、①ならびに②の要因に対してどのような影響を与えるか。 各群の得点平均値に統計学的な有意差があるかどうかを検定するため、被験者の年齢(学年)×ビデオ再生速度と回数の違い(群)×技の運動構造の複雑さ(技)を独立変数とする3要因分散分析(混合計画)を行った。その際、「技」については、同一被験者による反復測定の数値であるため、2要因に対応がなく、1要因に対応がある場合の3要因分散分析(混合計画)とした。球面性検定が有意な場合にはGreenhouse-Geisserのεによる補正を自由度が1より大きい反復測定のF値の検定に用いた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験は、2015年5月11日から7月27日までの間に、被験者が所属する学校で準備された実験室(空き教室、同窓会室)に1名ずつ入室させて行った。各群の得点平均値に統計学的な有意差があるかどうかを検定するため、被験者の年齢(学年)×ビデオ再生速度と回数の違い(群)×技の運動構造の複雑さ(技)を独立変数とする3要因分散分析(混合計画)を行った。その際、「技」については、同一被験者による反復測定の数値であるため、2要因に対応がなく、1要因に対応がある場合の3要因分散分析(混合計画)とした。球面性検定が有意な場合にはGreenhouse-Geisserのεによる補正を自由度が1より大きい反復測定のF値の検定に用いた。 その結果、被験者間要因に交互作用は得られず、学年要因、群要因ともに主効果も有意差が認められなかった。また、被験者内要因については2次の交互作用は得られなかったが、学年×技、ならびに群×技で交互作用が認められ、技の主効果も有意であった。単純主効果を検定するために、各学年における多重比較を行ったところ、中1では有意差が認められず、小3でのみ②振り上がりが①逆上がりと③け上がりに比べて有意に平均得点が高かった。 また、群×技で交互作用が認められたことから、技毎に多重比較を行ったところ、①逆上がりでは、群間で有意差が認められなかったものの、③け上がりではスローモーション再生を観察させたC群が通常再生速度で1回観察させたA群より有意に平均得点が高かった。以上のことから、観察対象の運動構造が一定以上複雑であれば、運動経過を把握させるためにはスローモーション再生による動画の観察が有効であると推察される。 研究成果を平成27年8月26日に国士舘大学で開催された日本体育学会第66回大会、ならびに平成28年3月6日に香川大学で開催された四国体育・スポーツ学会で発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は当初の計画通り、その後の考察を加えて研究成果の発表を行う予定である。
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Causes of Carryover |
成果発表の論文別刷り200部印刷費を確保しているため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
年度内に論文を投稿し、印刷注文する計画である。
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Research Products
(2 results)