2014 Fiscal Year Research-status Report
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26350722
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Research Institution | Fukuoka University of Education |
Principal Investigator |
兄井 彰 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (20258560)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本多 壮太郎 福岡教育大学, 教育学部, 准教授 (10452707)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 教師の職能 / 体育 / 資質能力 / エキスパート |
Outline of Annual Research Achievements |
体育を教える教員に求められる職能について、現在までに実施した中学校及び高等学校で優れた実践を行っているエキスパート教員25名に対するインタビュー調査の結果を、定性的研究の手法を用いた分析を行った。 特に、今年度は、選定した25名のエキスパート・ティーチャーへの質問紙及び半構造的インタビュー調査の分析結果を分析し、体育教師における職能形成要因として「豊富な運動経験」「環境・立場」「研修・研究」「同僚」「学習者の変容」「日々の実践の省察と再構築」「過去の職業経験」を抽出した。また、これらの要因は、「情熱・向上心」「運動・運動指導に関する知識」「授業設計力」「実技力・示範力」「集団統率力・授業展開力」「コミュニケーション力」「観察力」「動きのイメージの伝達力」「責任感・使命感」といった職能の形成に影響を与えていることも確認できた。さらに、「研修・研究」への参加や取り組み、日々の実践における「思考と試行のサイクル化」は、上記に挙げた職能の多くを形成していく上で大きな要因となっていた。また、これらの2つの要因は、新たな知識や方法の習得→実践での思考・試行→自分の授業のかたちの確立、といったように密接に関連している場合が多かった。 これらのことから、体育を教える教員に求められる職能構造と発展過程での要因の基本的な枠組みを示すことができたと考えられる。この結果を基に,異なる校種間での比較を行い、その相違点を明らかにできれば、体育を教える教員に求められる職能の全体像を明らかにすることができる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに、九州各地において優れた実践を行っている高等学校及び中学校の保健体育教員を24名選定し、約60~90分間の半構造的インタビューにより体育を教える教員に必要な職能について調査を行った。このインタビュー調査は、当初の計画通りに実施することができた。 また、調査で得られたデータは、文字情報に変換し(テキスト化)、先行文献を参考にして、「ユニット化」「タグ化」「サブカテゴリー化」「カテゴリー化」による定性的データの段階的分析法により処理を行い、体育を教える教員の職能形成要因として、7つの項目と直接的に職能形成に対して影響を与えている推定される9つの要因を抽出した。この定性的な研究手法による分析も当初の計画通りに実施することができた。 このことから計画通り、おおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、中学校及び高等学校の体育教師だけでなく、九州各地で優れた実践を行っている小学校で優れた体育実践を行っている教員を20名選定し、体育を教える教員に必要な職能についてインタビューを行い、定性的研究手法で解析を進める。 その調査結果についても定性的研究手法を用いて分析し、小学校、中学校及び高等学校の各校種間での体育を教える教員の職能構造と発展過程を比較・検討し、総合的な職能の全体像を明らかにする。 この結果を基に、将来教員を目指す教員養成課程の学生が体育を教える教員の職能についてどの程度備えているかについて明らかにする。具体的には、これまで明らかにしてきた体育を教える教員の職能構造および発展過程について、調査項目を選定し,質問紙を作成し、学生が備えている職能についてモデルを作成し、その職能構造を明らかにして行く。
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