2015 Fiscal Year Research-status Report
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26350722
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Research Institution | Fukuoka University of Education |
Principal Investigator |
兄井 彰 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (20258560)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本多 壮太郎 福岡教育大学, 教育学部, 准教授 (10452707)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 教員の職能 / 体育 / 資質・能力 / エキスパート教員 |
Outline of Annual Research Achievements |
体育を教える教員の職能について、小学校で優れた授業実践を行っているエキスパート教員22名にインタビュー調査を実施し、その結果を定性的な研究手法で分析を行った。 特に、今年度は、選定した小学校エキスパート教員22名への質問紙及び半構造的インタビュー調査を実施した。その結果、小学校における体育を教える教師の職能形成要因として、「環境・立場」「研修・研究」「同僚・研究仲間」「学習者の変容」「授業実践とその省察」を抽出した。また、職能形成に影響を与える要因として、「情熱・向上心」「運動指導に関する知識」「授業設計力」「集団統率力」「コミュニケーション力」「観察力(見立て)」「動きのイメージの伝達力」を確認できた。これらの職能要因は、中・高等学校で体育を教えるエキスパート教員が考える職能要因と類似しており、体育を教える教員の職能は、校種の違いで大きな差異はないと推察される。しかし、小学校においては体育授業が学級運営に大きな影響を及ぼすことなど、校種において細かな違いが見られてことから、これらの違いを今後詳細に検討することにより、体育を教える教員の職能およびその発展経過を明らかにすることができると考えられる。 さらに、今年度は、これまで実施したインタビュー調査の分析結果及び先行研究の検討から、体育を教える職能に関する93項目の質問紙を作成し、その予備調査を行い、項目の妥当性を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
九州各地において優れた授業実践を行っている中学校26名、高等学校12名、小学校22名のエキスパート教員を選定して、約50~90分間の半構造化インタビュー調査を実施し、体育を教える教員の職能について、分析を行った。今年度までに実施したインタビュー調査は、当初の計画通りに実施することができている。この調査で得られたデータは、テキスト化し、先行文献の検討結果を基準として、「ユニット化」「タグ化」「サブカテゴリー化」「カテゴリー化」を行い、定性的データの分析手法により処理が完了している。この分析結果として、体育を教える教員の職能とその発展過程ついて、7つの要因と9つの形成要因を抽出した。 また、この要因を基に93項目から成る質問紙を作成して、項目の妥当性も確認した。 このことから計画通り、おおむね順調に発展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで小・中・高等学校のエキスパート教員に実施してきたインタビュー調査の分析結果と先行文献の検討結果から明らかにしてきた体育を教える教員の職能について、将来教員を目指す教員課程の学生及び中学校保健体育教員がどの程度備えているかについて明らかにする。 前年度に妥当性を確認した体育を教える教員の職能に関する93項目の質問紙を用いて、教員養成課程の保健体育専攻学生約500名及び中学校保健体育教員約250名に対して、調査を行う。得られたデータについて、共分散構造分析を行い、体育を教える教員の職能について、その構造を明らかした上で、学生及び今教員の習得状況について、比較検討を行い、どの程度身につけているかを明らかにしていく予定である。 また、ここまで明らかにしてきた体育を教える教員の職能について、研究結果を補強するために、さらにエキスパート教員を若干名選定し、研究結果について意見を求めるインタビュー調査を実施する。 また、これまでの研究結果を総括して、体育を教える教員の職能について、校種別の違いなどを踏まえて上で、その習得方法について、検討することも目標とする。
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Causes of Carryover |
国士舘大学で開催された日本体育学会第66回大会参加のための旅費が、見積もりよりも若干安かったこと及びデータの記述化・整理のアルバイトの謝金に若干の残額があったことにより次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
前年度から引き続き実施するインタビュー調査によって得られたデータを記述化・整理するためのアルバイト謝金として充当する。
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