2016 Fiscal Year Research-status Report
登山者のリスク評価は登山装備にどのような影響を与えているのか
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26350726
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Research Institution | National Institute of Fitness and Sports in Kanoya |
Principal Investigator |
坂口 俊哉 鹿屋体育大学, スポーツ人文・応用社会科学系, 講師 (70454353)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 登山 / リスク認知 / リスク評価 / 装備 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、登山実施者のリスク認知が、実際の登山装備や登山計画の立て方にどのような影響を及ぼすのかを明らかにすることを目的としてる。特定の山を調査地点として設定し、その登山者を対象して質問紙調査を実施した。当初の計画では平成26年度中に目標サンプル数を確保できる計画であったが、平成26年度途中には調査地点周辺の火山性微動が発生し、それに伴う入山規制の影響もあり、計画通りの調査が実施できなかった。また、天候不順も影響して、計画標本を確保できなかった。そのため、平成27年度も調査を継続し、計画から半年遅れで当初計画通りのサンプル数が確保できた。調査実施期間が長くなり、また、データの入力整理に予想以上の時間を要したため作業の進行が遅れているが、現在はデータの分析と同時に、追加調査の準備を行っている。 主な結果としては、1.登山に対するリスクの認知やリスク評価の大きさが、参考中に携帯している登山装備品の数や登山準備行動(例えば天気予報を事前に調べる)と単純には結びついていない。2.登山に対するリスクの認知やリスク評価の大きさが、年齢や性別、登山歴などのデモグラフィック変数と単純には結びついていない。3.入山規制が引かれる前の登山者と規制後の登山者のデータを比較した場合、リスクの認知や携行品の数に差が見られた。この差が季節性に由来するものなのかについて確認するためにはさらなる分析を行う必要がある。4.携行品の有無によって登山者を類型化した場合、群間でリスクの認知や準備行動には異なった傾向が見られたため、リスク認知と登山装備や準備行動には何らかの関連があることが推測された。しかし、リスク評価やリスク認知が登山装備品の有無の間には直接的な線形的関係を確認できなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
初年度の調査実施からの遅れの影響が大きいが、本務校における授業などの負担増加も影響している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの分析では、登山リスクの認知と登山装備の間に単純な関連は認められていない。しかし、登山リスクの評価(評価得点の大きさ)などを基準として登山者を類型化(クラスター化)した場合、群間で登山準備行動や登山装備にに有意な差が認められている。これらの結果から、リスク評価やそれに続くと考えられる登山装備や登山準備行動には、登山者個人の持つ心理的な特性などの媒介変数の存在が想定されている。 平成29年度実施予定の調査では、媒介変数としての可能性が先行研究で指摘されている登山者の心理的変数(消費者関与)について問う設問を加え、1次調査データの結合の後、追加分析を行う予定である。
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Causes of Carryover |
予定していた2次調査が遅れているため。調査費用、データ整理にかかる人件費が消化されなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度中に調査を実施し、データの整理を行うための調査費用、人件費に使用予定である。
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