2015 Fiscal Year Research-status Report
我が国のライフセーバー育成に向けたコミュニケーション教育の方法開発とその実践
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26350729
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Research Institution | Ryutsu Keizai University |
Principal Investigator |
立川 和美 流通経済大学, 社会学部, 教授 (70418888)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小粥 智浩 流通経済大学, スポーツ健康科学部, 准教授 (20358774)
稲垣 裕美 流通経済大学, スポーツ健康科学部, 准教授 (20433568)
小峯 力 中央大学, 理工学部, 教授 (60382826)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ライフセーバー / コミュニケーション / 教育方法開発 / レスキュー / 救命 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はまず、学生ライフセーバーの実践の状況を、昨年度の結果をもとにさらに詳細に調査した。具体的には、夏休みの期間(2015年7月)を利用して、館山の海浜におけるライフセービング活動について現地調査を行った。実際の浜辺での具体的なケース(疾病救助、迷子対応等)に対して、ライフセーバーとしてどのようなコミュニケーションを行っているかを聞き取りし、そのディスコースの特徴を明らかにした。また、現地で指導に当たる学生(責任者・警備長)に対して、ライフセーバーとして下級生を指導する上でのコミュニケーション能力の課題や問題点、工夫などについて聞き取り調査を行った(2015年7月~9月)。彼らはいずれも3年以上の経験を持つライフセーバーであり、最も身近にライフセーバーの育成にあたる立場にある。ここでは、ライフセーバー間のチーム意識といった一般的なスポーツコミュニケーションの充実に加えて、チーム外の人々(海浜に来ているお客様)の立場に立つことの重要性、さらに浜の国際化に伴う英語力の強化などが指摘された。そして、この結果をもとに、教材開発に向けて、本研究調査者合同で会議を開き、教材の体裁や発信方法について検討を行った。 さらに、昨年度収集したシュミレーショントレーニングのデータをデータベース化して研究者間で共有し、言語・非言語コミュニケーションについて個々に分析を進めている。この分析に当たり、今年度はフォローアップインタビューを行い、ライフセービング活動中のコミュニケーションの実際を調査したが、予想以上に無意識の発話が多いことや、その一方でチームが発話者の意図を正確に認識していることが明らかになった。 上記の成果については、国内外の学会で口頭発表を行ったほか、投稿論文にまとめ、発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、研究実施計画で当該年度に行おうと考えていた事項について、一部を除きほぼ計画通りに進めることができたと考えられる。また、昨年以上に、研究成果を国内外に発信することができた。 まず、国内外の海浜におけるライフセービング活動のデータの整理と分析については、昨年度に行った調査を基礎として、より精度の高い質問事項を用意し、館山、西浜、新島といった複数のライフセービング活動の実際を調査することができた。さらにシュミレーショントレーニングのデータについては、画像と音声を整理し、データベース化することで研究者全員が共有し、分析が進めやすくなるとともに、データ提供者に対するヒアリングを行うことで、詳細な分析を行うことができた。ライフセーバーの学生に向けたコミュニケーションアンケートの結果については、その内容を分析し、特に外来語の専門用語に関する問題点が明らかになった。 今年度予定していた海外(オーストラリア)におけるライフセービング活動のデータ収集・ヒアリングについては、実施に行うに至らなかったが、すでに次年度の国際会議(ECSS 2016年7月 オーストリアを予定など)において、直接スポーツ教育の関係者からライフセービング教育に関するヒアリングを行う計画を立てている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度までと同様に、ライフセービング全般、医学やコミュニケーション領域に関する諸研究に注意を払いながら、コミュニケーションデータの分析を進め、そのまとめを行っていく。次年度以降は、具体的なライフセーバー育成で用いるコミュニケーション教材の作成に入る。平成28年度においては、パイロット教材として数種類の教材を作成し、それを国内の大学など諸機関の協力を仰ぎ、ライフセーバー育成において活用を依頼する。そしてその結果の修正と改良を重ねて内容と精度を高めていく予定である。 これに加えて、これまでの成果をスポーツの国際会議で発表し、本研究の目標であるライフセービングのコミュニケーション活動の分析と教材開発について、より広い視点から考察を進めていく。
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Causes of Carryover |
本年度は、当初計画していた人件費と謝金について、研究代表者・研究分担者がその作業を担ったため使用が発生しなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、海外(オーストリア)の国際学会で成果発表を行うため、外国旅費の計上が発生する予定である。
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