2015 Fiscal Year Research-status Report
生活体育論争としての佐々木-瀬畑論争の再解釈に関わる実証的研究
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26350735
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
石田 智巳 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (90314715)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 生活体育 / 体育科の本質論争 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,1960年から翌年にかけて『体育の科学』誌上で行われたいわゆる佐々木-瀬畑論争を,生活体育論争として位置づけることを目的としている。この論争は実証的な研究の俎上に載せられていないため,事実誤認や資料の見落としがあること,また,その後の「民主体育」における影響も明らかになっていないことを問題とした。 2015年度は,論争の当事者である佐々木賢太郎が,当時の生活綴方を用いた教師たちの実践記録集(『やまびこ学校』『夜明けの子ら』『村を育てる学力』)などからどのような影響を受けたのかを,ナラトロジーを援用しながら明らかにして,雑誌論文に掲載した。 また1月末には,東京で佐々木賢太郎さんの息子さんにお話を聞く機会を得て,当時の資料もいただくことができた。さらに,瀬畑四郎の所属する学校体育研究同志会の当時の機関誌『体育グループ』を手に入れることもできた。 3月には,大阪で行われた研究会において,佐々木-瀬畑論争に関して書かれた論文などに見られる問題点を10あげて報告した。そして,この問題点を解くことで,佐々木-瀬畑論争が持つ論争の意味を明らかにできるだろうことを報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上述したように,佐々木-瀬畑論争がもっている当時の意味とその後への影響は,概ね描き出すことができている。そのため,あとは論文にすることが課題となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで順調に進んできているので,特に研究を変更することはない。ただし,論文の作成に際して,丁寧な聞き取りや確認が必要になると思われる。学会での発表も行う予定である。
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Causes of Carryover |
理由の一つは,校務の都合で,研究出張に予定していたほど行くことができなかったため。ただし,都度都度の出張は充実していたため,少ない回数でも成果はあった。 もう一つの理由は,文献の整理のために学生アルバイトを予定していたが,資料は収集したものの,整理をお願いするに至らなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は最終年度となるため,収集した資料の整理・カタログ化するためのアルバイト代と物品代,さらには成果発表のための旅費に充てるため,今年度使い切れなかった助成金を使用する予定。
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