2015 Fiscal Year Research-status Report
幼児期の親子で取り組む体力運動能力向上プログラムの効果とその適時性の検討
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26350737
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Research Institution | Poole Gakuin University |
Principal Investigator |
灘本 雅一 プール学院大学, 教育学部, 教授 (10712846)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 浩也 プール学院大学, 教育学部, 教授 (30440598)
安部 惠子 大阪成蹊大学, 教育学部, 教授 (50434874)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 幼児期 / 親子運動 / 発育発達 / 体力運動能力 / 適時性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、幼稚園児の体力運動能力を向上させる方策として、親子で取り組む体力運動能力向上プログラムの効果(親の体力と幼児の体力の関係)と適時性の検証である。適時性の検証は、年少児(1年目)、年中児(2年目)、年長児(3年目)での親子の効果量について比較検討することである。平成26年度の介入研究は、平成26年9月から平成27年1月まで(9月プレ測定、1月ポスト測定)の3ケ月間にわたり、年少児9名の参加者を中心に毎週1回の親子運動教室と自宅でのセルフトレーニングを週1回実施させて、順調に進んだ。なお、コントロール群は、協力を得られた他の幼稚園年少児20名を用いて行った。平成27年度は、昨年から継続予定の年中児9名のうち、1名が保護者の都合で継続出来なくなり8名で2年連続の参加者でスタートした。一方、年中児からのスタートは、12名の希望者があり、合計20名で幼稚園の就業前の60分間、親子で行った。コントロール群は、協力を得られた他の幼稚園年中児16名を用いて行った。 運動教室の内容は、昨年同様に親子で行うリズム能力を向上させる体操を2種目と定位能力や反応能力を高めるように親子がペアでキャッチボールを行わせた。残り1種目は、バランス感覚を養う種目、反応能力を養う種目、状況の変化に応じて、素早く動きを切り替える変換能力を向上させる種目を組み合わせた運動を毎回提供した。この運動教室ではライフコーダで4秒ごとの活動量を記録している。平成27年度は高速度カメラと映像分析ソフトを購入し、映像データを基に投球と捕球の変化について、現在解析を行っている。 本研究の大きな意義は、親子が一緒に運動することで、親子の体力を向上させ、運動の楽しさを共有し運動を習慣化させていくことにある。2年目を迎えた運動教室では、親子の意識が徐々にではあるが、平素から一緒に運動しようとする意識は芽生えてきている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度は、保護者の就労等の都合で1名減となった。一方、年中児からのスタートは、12名の希望者があり、年中から年長へと継続して運動教室に参加することをお願いした。一方、コントロール群は、実験群と同様の時期に16名の年中児の前後測定を行えた。10月から毎週木曜日にS幼稚園の体育館で始業前の9時~10時までの1時間を利用して親子運動教室を行った。なお、セルフトレーニングも週一回して貰うように、基本運動の映像をDVDにて提供した。運動教室の出席率は、1回~2回の風邪等による欠席はあるものの大半の親子が最後まで頑張り、運動教室の運営は概ね、予定通り到達したといえる。ポスト測定は、1月に実施したが、インフルエンザの流行する時期でもあり、体調面での若干の不安が出る時期のため、予備日を含め3回の測定日を設けて、全員の測定を完了できた。 昨年度の反省を踏まえて、ポスト測定をインフルエンザの心配のない12月頃に実施できるように工夫したが、園の行事や測定協力学生の配慮から例年通りの1月実施とした。 昨年度から継続している年中児の児童は、敏捷性と瞬発力の項目でコントロール群及び年中児からスタートした園児よりも効果が出る傾向にあった。さらに、ボール操作能力のうち、捕球能力は交互作用が認められ、2年連続の効果が得られた。投力は、主効果が得られた。本研究の一つの目的である、捕球能力の向上は、1年目より2年目の年中児でトレーニング効果が得られた。年少児での効果より、年中児になってからの方がより効果が現れたため、適時性は年中児からと言える。また、親の体力は、敏捷性能力が2年目の運動群に主効果が得られた。また、下肢筋力も2年目群の方が統計的に有意でないものの効果が上がる傾向が出た。2年目は、生活活動調査の他に食事調査も実施出来、現在データを整理し、解析中である。2年目も概ね予定通り順調に実施出来ている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、本研究の最終年であり、年少からの参加の8名と年中から12名に加えて、年長からの参加者を12名募集して行う予定である。コントロール群は、年長児を予定している。プログラムの内容は、これまで通り、毎週1回の親子で行う運動とセルフトレーニングも週一回して貰うように、基本運動の映像をDVDにて提供する予定である。 平成27年度に高速度カメラと映像分析ソフトを購入し、映像データを基に投球と捕球の変化について、現在解析を行っているものを整理して、発達過程の特徴を研究することとする。 さらに、活動量調査に栄養調査を加えて、生活習慣アンケートと合わせて、今回のプログラムが生活習慣の変容とその要因について検討を加える予定である。また、共同研究者にもプログラムの調査及び測定結果の評価を依頼している。この点も概ね順調に進んでる。なお、本年の介入研究は、例年通り7月に新規年長児を募集し、9月にプレ体力測定を実施し、10月から1月まで、運動教室を実施し、1月中には、体力測定及び生活活動量調査を終了する予定である。 本研究が終了するのは、平成29年1月であり、そこから総合的な解析作業に移り、3月を目途に成果を報告したい。
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Causes of Carryover |
研究は、計画通り概ね順調に進んでいる。物品費の購入も概ね予算通りの金額である。旅費については、2015年度にヨーロッパスポーツ科学会議での発表を行い、2016年は、アメリカスポーツ科学会議で、関連研究の情報を収集するために、航空運賃と参加費に使用した。ただ、人件費については、データの解析を依頼できる要員が予定より少なかったことが、今年度の経費が余剰する原因となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度は、3年目の研究実施の人件費とともに、これまでのデータの解析に人件費を要したいと考えている。また、入力用のコンピュータも今年度購入を計画している。旅費としは、アメリカスポーツ科学会議での旅費と国内の学会発表に使用する予定である。また、ホームペイジの公開用に、費用を捻出したいと考えている。
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