2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26350741
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 日本武道 / 西洋武術 / 日独比較研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,日本武道・西洋武術を課題とし,日独の比較研究を行うため,日本の武道及び14世紀始めからのヨーロッパ,とりわけドイツ固有の剣術,格闘術,射撃などの武術成立過程にある思想,文化的,そして技術的要因について調査・検討するものである.研究期間内に,可能な限りその結果として日本武道と西洋武術を比較することにより,両方の相違点,または普遍的特徴を明らかにする.今年度は,まず研究に必要な物品としてカメラ,ビデオ・カメラなどを購入した.また,今まで十数年間にわたって行ってきた日本武道の研究を深めるために,日本剣術の一つである全日本剣道連盟が主催する居合道の全国的な講習会に参加した.このように日本武道の研究の追求及び資料収集とともに,ドイツ語圏における西洋武術の調査及び資料収集を開始した.ドイツにおいて,スポーツ科学の研究者及び西洋武術の専門家とコンタクトをとり,打ち合わせをし,調査に必要な支援を依頼した.平成26年9月には,西洋武術の理解を深めるために不可欠であると思われるドイツ中世剣術の稽古を見学した.その際,指導に当たった先生と西洋武術の思想的な背景や技術について議論をすることができた.さらに,稽古風景を撮影し,参加者の動機などについても意見交換を交わした.また,ドイツ中世剣術のトーナメント(競技会)を見学・撮影した.加えて,ミュンヘン市にあるバイエルン州立図書館(Bayerische Staatsbibliothek)をはじめ,西洋武術に関する中世の文献史料及び関連二次文献資料を調査し,日本武道のみならず西洋武術文献・史料の入集に努めた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は,日本武道に関する資料・情報収集及びドイツ中世の西洋武術に関する文献史料及び関連二次文献資料の調査及び収集を行うとともに,これらの内容を実践に取り込んでいる実技の実際を調査及び検討するものである.これらの分析と比較的な考察によって,相違点及び普遍的特徴を見出そうとするものである.平成26年度には,日本国内調査に加え,ドイツのミュンヘン市にあるバイエルン州立図書館(Bayerische Staatsbibliothek)などで,西洋武術に関する文献・史料の調査・収集に当たった.その結果,重要と思われる西洋武術に関する一部の文献・史料を入集することに成功した.これらの文献・史料調査及び収集はこれからの比較研究の基礎資料となりうるものである.また,本研究を推進するために,スポーツ科学研究者と中世の西洋武術の専門家とコンタクトがとれたこと,さらに,最近の十年から盛んに復元される中世の西洋武術を実際に見学及び撮影に成功したこともとても有意義なことであった.この研究をなす上で,このようなドイツでの現地調査とそれによる得られる情報は日本では取得し難く,きわめて貴重であった.このように研究はほぼ計画通り順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度以降も,研究計画を調整しながら,日本国内の日本武道の調査,そして可能な限りドイツ語圏へ赴き,中世の西洋武術の調査を継続したいと考えている.平成27年度には,平成26年度に引き続き,計画通りドイツ及びオーストリアでの現地調査を行う.その一環として,オーストリアにおける重要な古い文献の資料調査・収集をウィーンの図書館,博物館を通じて実施すると考えている.その理由は,これらに所蔵されている中世の西洋武術のデューラー(Albrecht Duerer)史料などは貴重な資料である.くわえて,日本とドイツでの武術の実践も引き続きデジタルカメラ,ビデオ・カメラで撮影する.さらに,中世武術の資料の翻訳に当たるとともに,内容を分析し,これらの翻訳・解読作業を行う.また,申請者は,平成27年度の後期からサバティカル研修期間が得られたため,この日本武道・西洋武術の日独比較研究に琉球王国時代における日本武道の一つである琉球武術の事態調査を加えようと計画している.
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Causes of Carryover |
平成26年度の研究費を残した理由は,科研費計画申請段階では承認されていなかったサバティカル研修を利用した琉球王国時代の武術氏研究をこの研究に加えることにしたためである.そのため,平成26年度の使用額を節約し,平成27年度に繰り越し,琉球王国時代における日本武道の一つである琉球武術の研究調査にも使用できるようにした.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成26年度に節約し使用額は,平成27年度に琉球武術の研究調査に使用する.
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Research Products
(1 results)