2015 Fiscal Year Research-status Report
パフォーマンス・プレッシャーによる意思決定と運動制御方略の変化
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26350745
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
関矢 寛史 広島大学, 総合科学研究科, 教授 (40281159)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | プレッシャー / プロスペクト理論 / 意思決定 / 運動課題 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度に実施した実験2の目的は、心理的プレッシャーを負荷した状況において、運動課題遂行による得点(利得と損失)の価値判断に損失回避性(損失が利得より強い価値への影響を持つこと)と感応度逓減性(利得や損失の絶対値が増えるに従って価値の絶対値も増えるが増加量は減少すること)が認められるかについて調べることであった。また、主観的な成功確率の評価と客観的な成功確率の評価の関係(確率ウェイト関数)を調べることであった。実験では、輪投げ課題を用いて、1.5m、2.0m、2.5mの距離のターゲットに対して90試行の練習を行わせた後、計3試行のプレッシャーテストにおいて、成功時はそれぞれ+200点、+600点、+1000点を与え、失敗時はそれぞれ-200点、-600点、-1000点を与えた。テストにおけるターゲット選択は各実験参加者(大学生19名)に任せ、選択しなかったターゲットに対しても得点の利得と損失に関する価値判断および主観的成功確率を報告させた。習得時に比べてプレッシャーテスト時の脈拍数は有意に高く、主観的報告に基づく状態不安の得点も有意に高かった。テストにおける価値判断について分析した結果、損失回避性は認められなかったが、感応度逓減性が利得と損失の両領域において認められた。また、2.0mと2.5mのターゲットにおいては、主観的成功確率が客観的成功確率より高い傾向を示したが、有意な差は認められなかった。今後、実験参加者を増やして、プレッシャーがかかった実験参加者とかからなかった実験参加者を事後的に群分けするとともに、昨年度に非プレッシャー条件で実施した実験1の結果と比較することにより、プレッシャーが価値関数と確率ウェイト関数に及ぼす影響をさらに検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実験2において実験参加者の都合と実験者のスケジュールが合わないことが多くあったため、実験参加者数が当初予定していたものより現時点で少なくなっている。また、心理的プレッシャーを負荷する条件においても、プレッシャーがかからない実験参加者がいるため、プレッシャーが負荷された実験参加者数を十分に確保するためには、今後実験参加者数を増やす必要がある。また、平成28年度に遂行する実験3のための機器の設定や予備実験が若干遅れているが、実験3の遂行を妨げるものではない。
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Strategy for Future Research Activity |
実験2において心理的プレッシャーが負荷される実験参加者数を十分に確保するために、平成28年度においても実験2を継続し、実験参加者数を増やしている。平成28年度に遂行予定である実験3については、予備実験を行った後に本実験に取り掛かる予定であり、特に問題はない。
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Causes of Carryover |
平成27年度に完了予定であった実験2の実験参加者の募集が、講義履修学生の人数減の影響によって難航し、また、実験者と実験参加者のスケジュール調整が困難なケースが多かったため、実験の遂行に若干の遅れが生じたため。また、平成28年度に行う実験の機器の納期の遅れによって予備実験の遂行が平成28年度になったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度の4月からすでに実験2の実験参加者を新年度の講義履修者から募集して実験を再開しており、実験参加者数を増やすことによって心理的プレッシャーが負荷された実験参加者数を十分に確保する計画である。また、平成28年度に遂行予定である実験3の予備実験を開始しており、予備実験終了後に本実験に取り掛かる計画である。
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