2015 Fiscal Year Research-status Report
スポーツと観光に関する政策イノベーションに関する研究
Project/Area Number |
26350756
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
原田 宗彦 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 教授 (70189710)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | スポーツ振興 / スポーツツーリズム / スポーツ政策 / 2020年東京オリパラ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、地方自治体における「地域活性化や観光振興のためのスポーツ活用策」の現状および取り組み意向、ニーズ等を把握することである。調査テーマは、①スポーツコミッション等の組織新設の背景、障壁、理由、業務内容、②JSTA(一般社団法人日本スポーツツーリズム推進機構)の認知度、合宿誘致に関する情報入手経路、③2020年東京オリパラに関する施策の有無、施策開始時期、スケジュール、観光客のターゲット、受け入れ体制の整備、補助事業、プロモーション、予算、④スポーツとまちづくり条例の有無、具体的施策、将来、重要度の4つである。調査対象は、全国都道府県(47)政令指定都市(20)、中核市(45)、特例市(㊴)の151自治体であり、それぞれスポーツ部門と観光部門に対し、302部の質問紙を送った。全体の回収率は63.2%であり、スポーツ部門が76.2%、観光部門が50.3%であった。調査では、市民の健康づくり、青少年の健全育成、良好なコミュニティ形成などをねらいとするこれまでのスポーツ振興施策(地域資産形成型の施策:インナー)に加え、地域経済の活性化を目的としたスポーツイベント開催やスポーツ合宿・キャンプ誘致、スポーツ観光(ツーリズム)振興などの取り組み(域外交流振興型の施策:アウター)がどの程度スポーツ施策に取り入れられているかについてデータを収集した。分析の結果、スポーツ部門で7割、観光部門で5割近い自治体がオリパラ関連の施策を実施しており、その中の8割前後の自治体がスポーツ振興・スポーツツーリズムの両面を目的としていることがわかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今回の研究は3か年によるもので、1年目と2年目に、全国都道府県(47)、政令指定都市(20)、中核市(45)、特例市(39)の151自治体全国自治体に対し調査を実施し、それぞれ7割と6割の回答率を得ることができた。これによって、1年目はスポーツツーリズムへの関心と、スポーツコミッションに対する自治体の取り組みを知ることができた。2年目にあたる昨年度は、同じ自治体に対し、2020年東京オリパラに対する合宿誘致の意向とスポーツツーリズムに対する取り組みの現状について質問を行い、充分な数の自治体から回答を得ることができた。3年目にあたる本年度は、全国で設置が進むスポーツコミッションを対象に、ヒアリング調査を実施し、全国で進展するスポーツを活用した域外交流型の施策イノベーションについて調査を実施する。このような経緯から、本研究プロジェクトはおおむね順調に進展していると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、さいたまスポーツコミッションが誘致に成功した「第3回ツールド・フランス・クリテリウム in さいたま」を対象に、観戦者および開催地住民に対する質問紙調査を行い、そこで集められたデータから、観光庁による簡易測定モデルを用いて都市セールス型スポーツイベントの経済・社会効果を測定する。都市型スポーツイベントの効果を測定する項目として、以下の14項目を設定する:①スポーツ人口拡大、②スポーツ振興、③地域活性化、④地域コミュニティ形成、⑤経済効果、⑥宣伝・PR、⑦知名度向上・イメージアップ、⑧一体感・連帯感の醸成、⑨交流を深める場の創出、⑩生きがいづくり、⑪青少年の健全育成、⑫競技力向上、⑬健康増進・体力向上、⑭施設整備・有効活用。質問紙調査の対象者は、無作為に抽出された当イベントの観戦者と開催地住民である。質問紙から得られた消費支出額を推計し、イベントがさいたま市にもたらした直接効果を算出する。一次波及効果と二次波及効果からなる間接効果については、その構成比を用いてさいたま市内の効果を算出する。直接効果と間接効果の和が経済効果となるが、最終的に、この経済効果を、費用対効果の観点から検証する。さらに、さいたま市スポーツコミッション、佐賀県スポーツコミッション、新潟市文化・スポーツコミッション、さっぽろグローバルスポーツコミッションの4事務局に対し、縦断的なインタビュー調査を実施する。ヒアリングデータの処理方法については、分析ワークシートによる発言データの概念化を行う予定である。
|
Causes of Carryover |
2年目の調査が遅れ、データ分析と報告書作成にかかる人件費の支出が年度を越えて発生したために、次年度使用額が生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
3年目の予算に組み入れて、2年目の研究成果報告書の作成で費消する予定である。
|