2015 Fiscal Year Research-status Report
ダイナミック動作における下肢と足部筋の力発揮の関連性の解明と足部装具開発への応用
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26350757
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Research Institution | Toin University of Yokohama |
Principal Investigator |
小山 桂史 桐蔭横浜大学, スポーツ健康科学部, 講師 (70637090)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山内 潤一郎 首都大学東京, その他の研究科, 准教授 (70552321)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 足関節 / 足部 / 足指 / 把持筋力 / 底屈筋力 / 足部装具 / 地面反力 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、ヒトのダイナミック動作における下肢と足部筋の力発揮の連関性メカニズムの解明を目的とし、身体運動における筋機能の促進と足底部保護機能の役割を持つ足部装具開発への応用を目指すことである。 当該年度では、特に足部装具(シューズ,サポータなど)による足関節および足部固定が力発揮に及ぼす影響を明らかにした。例えば、足関節サポータの着用は足関節底屈筋力を低下させ、それよりも高い強度の素材で固定した場合には、足指の把持筋力まで低下させることが明らかとなった(Yamauchi and Koyama, 2015)。つまり、初年度に明らかにした足関節テーピングによる足関節固定は、足関節底屈筋力に加えて足指の把持筋力まで低下させたために、離地直前の瞬発的な力発揮を低下させ、跳躍高を低下させたことが考えられた(Koyama et al., 2014)。 その一方で、切り返し動作では、足関節サポータの着用は反復横跳び時の鉛直方向,内外側方向の地面反力や反復横跳びの回数を低下させなかった。これは、反復横跳びのような切返し動作において足関節および足部の矢状面以外の動作を制限することは、力発揮や敏捷性を阻害しないことが考えられた。 またシューズの着用による足関節および足部の固定は歩行の支持期後半における圧力中心の進行方向への移動を円滑にして、内外側方向への圧力中心の移動量を低下させることが明らかとなった。つまり、パフォーマンスの優劣を争わない歩行動作では、シューズによる足関節および足部固定は無駄な動作を削減することが示唆された(小山と小島,2015)。 これらの結果を踏まえると、現在の段階においては、身体運動の目的によって足底部保護機能の役割は異なり、目的に応じてその着用方法を考える必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の課題を解決すべく、3つの研究テーマがある。その3つは、1)足関節の角度と底屈速度の違いが足関節・足指筋力の力発揮に及ぼす影響,2)ダイナミック動作における下肢と足部筋の力発揮への相互作用,3)下肢と足底部の力学的評価方法を活かしたサポータやシューズなどの足部装具開発への応用、である。現在までに、これらの3つに関連する学術誌を5本(受理済み4本,投稿中1本)、5演題を国内外で学会発表を実施して報告済みである。しかしながら、これまでに報告しきれていないデータが存在し、それらのデータを整理して、学会発表および論文投稿することが課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで足関節や足部の動きを制限することによって、足関節や足部の機能、すなわち衝撃緩衝機能や身体運動時での力発揮機能の現象を明らかにしてきた。そして、その制限方法をシューズ,サポータ、もしくはそれらよりも強固な素材を利用した固定器具を使用することによって、足部装具開発への有益な情報も研究成果として発表してきた。しかしながら、いずれも現象の解明を発表しており、そのメカニズムについては未だ明らかになっていない部分が多い。例えば、身体運動におけるウィンドラスメカニズムやアーチの動態がどのように機能しているのかについては、これまで考察に記述するものの、それらのメカニズムについては実際に検証できていない。この部分を明らかにする研究方法を確立して、これまでに明らかにした結果に対するメカニズムを一つでも明らかにする予定である。
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Causes of Carryover |
実験のために購入予定であった備品等が本学ならびに共同研究者の機関を通じて準備することが出来たため、当初、計画した予算よりも少なくなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
最終年度では、発表数や論文投稿数を増すためにも共同研究者との打ち合わせ、学会への参加数が当初予定した計画よりも増えると思われるため、その部分に補う。
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Research Products
(8 results)