2014 Fiscal Year Research-status Report
思春期男子におけるスプリント加速能力の発達とトレーナビリティ
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26350759
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Research Institution | Tokai Gakuen University |
Principal Investigator |
星川 佳広 東海学園大学, スポーツ健康科学部, 准教授 (60394095)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ジュニアスポーツ / 発育発達 / 疾走能力 / 歩幅 / 接地時間 / 縦断分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度の当初の目標は、測定系の作りこみ(新規装置の動作確認・オペレーション確認や、再現性、測定方法間の互換性確認など)と、成熟に達した選手での試験的な測定であった。また次年度からの思春期にある選手の縦断的な計測に備えた協力団体とのネットワークづくりも目標とした。 結果的に、①成熟に達した選手37名と②中学生選手61名(協力1団体)の測定が実施できた。また、その他1団体の協力団体との折衝も進行し、次年度よりスプリント能力の高い選手を対象とした縦断的計測ができる体制がつくれた。 ①については学会発表まで行った。主な結果として、成熟に達した選手では、加速能力が平均以上の場合、すでに2歩目以降においてステップ長(身長比)が大きく、さらに加速能力が優れる場合は2歩目以降においてステップ長(身長比)が大きいにもかかわらずピッチが高い傾向にあることが判明した。また加速能力が優れる選手は、1歩目より接地時間が短い傾向を示し短い接地時間ながら大きなステップ長(身長比)と相対的に高いピッチを得ていることが判明した。 加えて、ステップ長とピッチの逆相関の関係性は加速の1~4歩目においてそれ以降よりも強く、高いスプリント加速能力の獲得には、加速期間の初期(4歩目まで)においてステップ長(身長比)を伸ばしながらも高いピッチを維持すること(トレードオフ関係の克服)、この1~4歩目においてはステップ長等の各指標と形態は関連が小さく、上記の点は身長の大小にかかわらず当てはまることが判明した。 今後は、②の選手を縦断的に追跡することで上記の傾向を発育期の選手で検証すること、およびその出現時期や成長段階との関係性を確認することが目標となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
申請段階での計画では、平成26年度において測定系の作りこみを大きな目標としていた。しかし結果的に、当初は研究2年目から予定していた縦断的計測の対象となる思春期にある中学生の測定が研究開始1年目より実施ができた。この件については早い段階で測定が実施できたことは望ましいと評価する。 しかし、測定系の作りこみを不十分なままスタートしたため、動画処理を手作業で行う工程が効率化できておらずデータ処理が追いつかない状況にある。また縦断的計測は、次年度以降も同じ測定系を繰り返すことになるが、測定系に不安があると後々すべてのデータが使えなくなる可能性もある。これらの点は、効率的なオペレーションづくり、測定系の再現性・測定方法間の互換性確認を次年度において確実にしておく必要がある。この点がやや遅れていると判断する理由である。 一方、協力団体との交渉が進展し、本研究の最大の焦点であるスプリント能力が高い思春期男子を対象とした縦断的測定を次年度以降に実施可能な目途がたった。この点は評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
思春期男子を対象とした縦断的測定を2団体(トータル約100名)にて実施する。1団体は2回目の、1団体は初回の測定実施となる。あわせて、元々研究1年目に予定していた測定系の作りこみ―測定再現性や恣意的な歩幅変更のタイムへの影響等の確認など―を完了する。さらに、1年目に測定したが処理できていないデータの解析を進め、1年目に学会発表した内容は論文化を図る。 さらには、思春期における加速能力や歩幅等の指標および成長段階の関係性をより大勢の被検者数で把握するため、横断的なデータの取得も試みる。このデータは本研究では縦断的計測に対するコントロールデータとして機能させる。そのため大学近隣の中学校との折衝・ネットワークづくりを行い、次年度(できれば今年度中)に測定が実施できるような態勢づくりをすすめる。
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