2017 Fiscal Year Research-status Report
スポーツチームの心理状態を可視化する:実力発揮の予測ならびに支援ツールの開発
Project/Area Number |
26350763
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Research Institution | Osaka University of Health and Sport Sciences |
Principal Investigator |
土屋 裕睦 大阪体育大学, 体育学部, 教授 (80272186)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 集団凝集性 / 集合的効力感 / チームビルディング / メンタルトレーニング / スポーツチーム / スポーツカウンセリング / コーチング / ソーシャルサポート |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、スポーツチームの心理状態を可視化(直感的かつ包括的に把握)する、アセスメントツールを開発し、さらにチームへのサポートシステムをインターネット上で構築する、縦断的かつ実践的な研究である。研究4年目にあたる本年度は、調査対象となったスポーツチームに対してフォローアップ体制をとり、継続的にチームビルディングの成果を調査した。同時にこれらの研究成果を本研究における以下の3つの課題に還元し、より洗練されたアセスメントツールならびにサポートシステムの構築へと発展させた。 具体的には、①実力発揮モデルの精緻化ならびに心理状態をアセスメントする調査用紙の標準化の検討、②日本代表チームを含むトップレベルのチームからデータ収集ならびに監督へのインタビュー調査の実施、③チームビルディングの実践研究を比較検討し、その基礎となる心理教育モデルの枠組みを提示、の3点を課題として研究を遂行した。 集団凝集性と集合的効力感を2軸とした、スポーツチームの心理状態の可視化の試みについては、一定の信頼性、妥当性を得つつあり、アセスメントツールとして活用が可能となった。一方で、チームの実力発揮度との関係では、集合的効力感との有意な関係は一貫して認められるものの、チームの実力発揮度と集団凝集性との関連性には、まだ不明な部分が多い。したがって、次年度に向けては、①同一リーグに所属するチーム同士の対戦に焦点を当てることで、勝敗に伴う心理変数の変化を観察する、②チームビルディングの実践による実証研究を蓄積する、の2点が必要となっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、研究4年目にあたる平成29年度までに、アセスメントツールを完成させ、標準化を達成する計画であった。既にインターネットを活用したデータ収集ならびに分析システムを構築しつつあり、データ収集はおおよそ完了した。一方、これらの調査データとチームの実力発揮度との関係については分析中であり、標準化に向けた作業を継続中である。したがって、本年度までの目標の達成度は80%程度であると考えられる。以上から、当初の計画通り、「おおむね順調に進展している」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策について、研究の最終年度に当たる平成30年度では、3つの研究課題において、成果のとりまとめを行い、研究全体を総括する予定である。その際、現在課題となっている、心理的変数(集団凝集性および集合的効力感)とチームの実力発揮度との関係について集中的な分析作業を行い、より効率的なチームビルディングの実践へと結び付けていく予定である。
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Causes of Carryover |
インターネット上でデータ収集するためのシステムを構築するため、システム開発を外注するための物品費用を計上していたが、アンケート画面を自作できる可能性があったため、外注せずQRコードを用いた仕様で作成を試みている。この仕様で動作が確認できれば、改めて平成30年度に、物品費を用いてWEBページを開設したいと考えている。
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