2014 Fiscal Year Research-status Report
スポーツ活動に伴うリスクに対するマネジメント‐日仏間の比較研究を中心にして‐
Project/Area Number |
26350765
|
Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
石井 信輝 摂南大学, 法学部, 准教授 (00288044)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | リスクマネジメント / スポーツ / 民事責任 |
Outline of Annual Research Achievements |
スポーツ活動中の事故に伴う損害賠償リスクに対するマネジメントを、法的な視点に基づいて講じるための知見を獲得することが、本研究の課題である。本年度はまず、サーキットにおいて事故が発生し、それに伴い被害者と加害者との間で民事責任が争われたフランスのケースについて、フランスの民事領域の最高裁判所にあたる破毀院が下した判決文を逐語訳するとともにそれを分析し、フランスにおけるスポーツ事故発生時における民事責任の所在について検討した。その結果、主に危険の引き受けの法理の適用に関する知見を獲得した。またその成果については、「スポーツ事故と法的責任‐フランスにおける危険の引き受けの法理の適用をめぐって‐」というタイトルの刊行物において公表した。 一方、フランスのスポーツ領域における民事責任の動向を調査し、必要な資料の収集を図るために、同国のリモージュにあるCentre de Droit et d’Economie du Sport(スポーツ法・経済研究センター)を訪問し、センター長や同センターの研究員らと面会した。加えて、同様の目的のために、モンペリエ大学の法学部にも訪問し、スポーツ活動中の事故と民事責任との領域を専門とする教授らと面会した。それらのことによって、現在のフランスにおける“民事責任とスポーツ”に関する示唆を受けるとともに、これからの研究遂行に必要となるに資料を収集した。実際に収集した資料は、例えば、スポーツ活動全般を規定する法令を網羅するCode du sport(スポーツ法典) (Dalloz, 2013)等である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の初年度である本年度の中心的な課題は、2010年11月4日の破毀院判決を逐語訳し、事件の概要や裁判での争点、および裁判官が下した判決に至る過程や判旨を分析し、検討することであった。この課題を達成し、成果を公開するとともに、これ以外の課題についても現在随時着手しており、27年度もしくは28年度中にはその成果を公開するつもりである。また、研究遂行のための資料の収集も順調に行うことができており、研究はおおむね順調に進展しているといえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究は順調に進展しており、今後とも当初の計画に沿って遂行していくことを予定している。ただし研究を振興していく上で、フランスだけではなく他のヨーロッパの国々やアメリカの事例にも目を向け検討を進めた方がより良い研究ができるのではないかと判断し、そのことにも積極的に取り組むことを考えている。
|
Research Products
(2 results)