2015 Fiscal Year Research-status Report
スポーツ活動に伴うリスクに対するマネジメント‐日仏間の比較研究を中心にして‐
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26350765
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
石井 信輝 摂南大学, 法学部, 准教授 (00288044)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | リスクマネジメント / スポーツ / 民事責任 |
Outline of Annual Research Achievements |
スポーツ事故に伴う賠償責任(民事責任)の発生リスクに対するマネジメントを、法的な視点に基づいて講じるための知見を獲得することが本研究の課題である。本年度は、昨年度の研究において検討した、サーキット走行中の事故に関するフランスの最高裁判所である破毀院の判決後に制定された法律である、LOI n°2012-348 du 12 mars 2012 tendant a faciliter l’organisation des manifestations sportives et culturelles(文化・スポーツイベントの運営を支援するための2012年3月12日の法律第2012‐348号)に関して検討した。 その結果、同法がスポーツ領域における民事責任制度に直接的な変化を生じさせたことを明らかにした。具体的には同法第一条は、フランススポーツ法典L.321-3-1条に以下の条文を挿入した:「スポーツ活動の実践者は、一時的または継続的にスポーツ実践の用に供される場所において、スポーツイベント中にその活動を実践する、またはそのイベントのための練習の機会に、民法典1384条1項にいう、自己の管理下にある物の所為によって他人に与えた物質的損害の責任を、負担することはない」。すなわちこの条文は、スポーツ活動中に、自己の管理下にある物の所為による、物質的な損害は負担する必要はないが、身体的な損害が発生した場合には、賠償責任が生じることを規定することとなる。したがって、物の所為によって生じた身体的な損害に対する責任については、危険の引き受けの法理を適用して減免される可能性が否定されることとなり、フランスにおけるスポーツ領域における民事責任制度の変化がもたらされたこととなる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の2年目である本年度の中心的な課題は、LOI n°2012-348 du 12 mars 2012 tendant a faciliter l’organisation des manifestations sportives et culturelles(文化・スポーツイベントの運営を支援するための2012年3月12日の法律第2012‐348号)を逐語訳し、検討することであった。この課題を達成し、公開するとともに、それ以外の課題については現在随時着手しており、来年度にはその成果を公開するつもりである。また、研究遂行のための資料の収集も順調に行うことができており、研究はおおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究は順調に進展しており、今後とも当初の計画に沿って遂行するつもりである。特に、本年度は、LOI n°2012-348 du 12 mars 2012 tendant a faciliter l’organisation des manifestations sportives et culturelles(文化・スポーツイベントの運営を支援するための2012年3月12日の法律第2012‐348号)が施行されたのちの動向について、資料の収集および現地調査を通じて検討していきたい。
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Research Products
(3 results)