2015 Fiscal Year Research-status Report
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26350793
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
内田 匡輔 東海大学, 体育学部, 准教授 (00407983)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 体育経験の脆弱さ / 体験のない教材 / 生徒の変化 / 多動傾向 / 睡眠行動の問題 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の更なる遂行にあたり、27年度は、星槎中学校、高等学校での研究授業実施と授業担当者へのインタビュー調査を中心に実施した。 インタビュー調査は、半構造化インタビューによって実施し、授業を担当した教諭に共通した内容として、「生徒の体育実技経験が脆弱である」「体験のないスポーツ教材研究の必要性」「実施した事のない内容への生徒の変化」といった内容を得る事ができた。 さらに、授業期間記録も実施し、これらの授業では、「運動学習場面」が60%以上であることが明らかになった。運動学習場面の充実が図られた一方で、運動学習時の相互作用としての声掛け等のフィードバックの具体的に検討する必要性も挙げられた。また、心拍数計や歩数計を用いた実験的な授業の取り組みも支援し、協力校で実施に至ったが、機材の使用頻度が少なく、今後も継続して使用し、授業評価の可能性について継続して検討する。 また昨年実施した、生活・運動習慣調査の更なる深化を図るため、日本体育学会で再整理、因子分析を加えた結果を報告する事ができた。因子分析の結果、明らかになった特徴は「多動傾向が強い」「睡眠行動に課題がある」「運動を好む生徒は運動実施傾向が高い」「メンタルヘルスに影響を与える」であった。特に、生活習慣面の睡眠行動での因子の説明量が高く、これらの傾向をもとに、保健授業内容をどのように設定する事が、特徴のある生徒にとって良い学習効果が得られるのか、検討を重ねている。さらには、本件等の結果、対象群には、強く多動の傾向があり、この傾向が、注意欠如や自身の問題行動へと繋がる可能性について、担当教諭と検討し、クラス分けやチーム分けの資料として考量するなど、アセスメントの一環としての使用について、その可能性を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究で予定した、授業研究はおおむね順調に実施され、当該年度については5月~1月に合計7回の研究授業を実施する事ができた。当初9回予定していたものの、気象警報のため授業休講と研究代表者が本務校での会議が急遽予定されたため、7回となった。 よって、それ以外の授業研究は予定通り実施され、形成的授業評価も同時に行なわれた。授業実施にあたり、心拍数計や歩数計を用いた自身の身体の状況を確認するスキルを身につけられるよう、実験的な授業提案もおこなった。これらの機材を使用した授業が、7回のうち2回と少なかったため、データとして活用するために、継続した実施が必要となった。これらの原因として、実施したアダプテッド・スポーツの考えに基づく実技授業が、部分的な身体接触があるとった課題を含んだ事が挙げられる。 また、授業実践者との定期的な会合も行い、その中で半構造化インタビューによる調査を行ない、単元構成に向けた、具体的な手がかりを得る事ができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の目的である、全ての生徒が必要とする保健体育のあり方を提案する事を、本年度の研究の最終的な目標としている。 そのために、本年度は、協力校での研究授業公開日を設け、公に実践研究を発信する。この研究授業公開日では、保健、体育の授業実践に加えて、授業内でのアセスメントについて提案する事で、保健と体育の融合についても迫る事とする。 さらには、研究授業公開で得られた実践研究結果をもとに、更なる授業改善に向けた授業研究会を5月、6月、10月、12月、1月に実施する予定である。1月には、年間の単元計画、更には、授業評価指標として形成的授業評価、心拍数や歩数計での指標も示す事で、本研究をとりまとめ、研究成果をまとめる事とする。 また、これまでに得られた授業での成果を部分的に学会等で発表し、広く意見を求めつつ本研究を推進する事とする。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、「旅費の相違」と「授業研究会の準備」の2点が挙げられる。まず、「旅費の相違」については、学会発表会場が、いずれも東京都内であり、宿泊も伴わない距離であった事が一因である。また、予定していた授業視察を含めた日程が業務や対象校の予定変更のため次年度と変更となった事も原因である。 次に、「授業研究会の準備」であるが、当該年度までの授業研究は、校内研究を主としていた。そのため、資料作成や物品購入等の経費が大きく係らなかった事に起因している。次年度以降に、一般公開も含めた、研究会を実施するため使用を控えた事も原因である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
まず、次年度の使用計画として、学会が関西地域など、遠隔地での開催となる事や、視察や授業研究で訪れる学校は遠隔地を予定しているため、旅費の使用は予定通り行なわれる。 また、研究会については、研究授業公開を7月に予定しており、この公開日に向けた機材の整備や授業準備に充分な経費を割く事を思索中である。また、授業研究会を受けた単元計画策定に向け、必要とする専門的な情報提供を必要に応じて実施する事を計画している。
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Research Products
(2 results)