2015 Fiscal Year Research-status Report
東日本大震災で被災した地域スポーツ界の復興要因に関する社会学的研究
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26350797
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Research Institution | Tokoha University |
Principal Investigator |
吉田 毅 常葉大学, 健康プロデュース学部, 教授 (70210698)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 東日本大震災 / 地域スポーツクラブ / 震災復興 / クラブ連携 / スポーツ欲求 / バレーボール / サッカー |
Outline of Annual Research Achievements |
26年度の実施状況報告書「12.今後の研究の推進方策等」に記載した通り、①サッカーの成人クラブ1つ、バレーボールの成人クラブ複数(2つ)、つまり②女子クラブ1つ及び③男子クラブ1つを対象に、各クラブの震災前から被災の様子及び復興要因を探るために関係者へのインタビューを行った。インタビュー対象者は、特に震災後のクラブ活動再開に関して詳しい方として①が総監督1名、主将1名、主務1名、②がOG1名、中心メンバー2名、他メンバー2名、③が代表1名(③はそもそもメンバーが少ない)であった。多くは自宅が津波被害に遭った方である。②と③は既に復興したとみられるが、①の場合は活動拠点であった町営グラウンドに仮設住宅が建てられ、27年度末の時点でも代替グラウンドでの活動を余儀なくされており復興の途にあるとみるべきである。①は整備され活動に申し分のなかった上記グラウンドが使えなくなった。そのため、震災から約2ヶ月後に町外のフットサルコートで活動を再開したものの、町営フットサルコートが整備される2年半もの間は通常、こちらも町営だが荒れたグラウンドで活動するより他はなかった。②は活動拠点であった公民館アリーナが使えなくなったが、上記中心メンバー2名は震災前から③に交じって某中学校体育館でも活動していたこともあり、震災から約2ヶ月後に上記③の代表に活動再開を希望する連絡を入れた。代表が中学校に問い合わせると体育館が使用可能ということで、その数週間後に③に交じって活動を再開した。その際は総勢5名であった。かくして②はその後、場所を上記体育館に移し③と連携し活動するに至った。②も③も9月頃には震災前と変わらない人数となり活気づいたという。復興要因としては主に、ほとんどのメンバーのサッカーをしたい、あるいはバレーボールをしたいという純粋なスポーツ欲求、換言すれば震災前の日常を求める欲求が挙げられよう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究経費及び調査対象者の協力により、当初の計画に比して調査を多く実施できたため、詳細なデータを収集することができた。ただし、各クラブの全容の解明に向けては慎重であらねばならない。今後も更なるデータの収集に努めることが重要と考えている。なお、26年度の調査を基に作成した論文が、査読のある雑誌に掲載されることとなった。この点は研究の進捗として大いに評価されよう。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度は概ね計画通り研究を進めていく。各クラブに所属する(した)被災した子ども及び成人メンバーを対象にインタビューを進めると共に、過去2年間の知見も踏まえ地域スポーツ界の東日本大震災からの復興及び防災・減災の要点について検討していくが、上記インタビューでは各々の人数を変更する予定である。初年度(26年度)に提出した交付申請書では子どもと成人各5名としていたが、子どもへのインタビューに困難さが感じられるため、子どもを若干減らし4名とし、成人を6名とする見通しである。ただし、可能であれば予定通り各5名とし、更に各々の人数も増やしていきたいと考えている。また、当初は被災した選手のみを対象とする予定であったが、指導者にも被災した方がいるため指導者も対象とすることにしたい。その方が幅広いデータを得るために有効と判断したからである。他方、28年度は過去2年間の調査対象クラブに関するより詳細なデータを収集するために、各クラブの関係者にも更なるインタビューを行う予定である。また、慎重にデータの分析も行い論文の作成に当たる。
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Research Products
(1 results)