2016 Fiscal Year Research-status Report
バスケットボールの指導現場における体罰に関する国際比較研究
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26350806
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Research Institution | Hokusho University |
Principal Investigator |
千葉 直樹 北翔大学, 生涯スポーツ学部, 教授 (20389662)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 暴力 / 「体罰」 / 指導信条 / バスケットボール / 国際比較 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、前年度3月に行った高校バスケットボールの顧問に対する質問紙調査の結果を分析し、8月に日本体育学会で、3月に日本スポーツ社会学会で研究発表を行った。質問紙の回収率は26.9%で、311名の有効回答を得た。調査対象者のバスケットボール指導者のうち、40%(122名)が被暴力経験者であった。2012年度以前に暴力行為を行っていた教師の比率は、22.1%(68名)であった一方で、2013年以降は5.5%(17名)に減少した。「拳で殴る」や「平手打ち」等の暴力行為は少なくなった一方で、暴言や身体的な苦痛を伴う懲戒などは依然として一部の高校バスケットボール部で行われていることが示唆された。 さらに、先行研究の指摘通りに、暴力指導を受けた指導者ほど、選手に暴力行為を行う傾向が高いことが確認された。「暴力コーチ」は、「非暴力コーチ」に比べてバスケの指導に自信を持ち、生きがいとして情熱を傾け勝利志向であり、暴力行為に肯定的な態度を取っており、指導者と生徒間の上下関係を重視し、キャプテンを見せしめとして叱り、生徒に従順さを求める考えを持つ傾向が明らかになった。この研究をもとに、体育学研究に原著論文として論文の投稿を行った。 28年度2月には、アメリカのサンフランシスコ、ニューヨーク、モントクレアを訪問し、4名のアメリカ人バスケットボールコーチに指導信条に関するインタビュー調査を行った。さらに、3月には日本国内でアメリカ人のプロコーチに対するインタビュー調査を行った。調査の結果、アメリカのバスケットボール界では、コーチによる暴力は認められておらず、発覚すれば指導を続けられなくなる状況にあることがわかった。調査対象者は選手に対して肯定的な態度で接し、レベルアップするための助言をするという姿勢で指導をしていた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
アメリカでのインタビュー調査は当初27年度に予定していたが、できなかったために、 28年度に行った。また1週間の滞在では思うようにインタビュー対象者を10名まで増やす ことができなかったために、今後、もう一度アメリカでの調査を行う予定である。 また日本のバスケットボール指導者へのインタビュー調査は、本務校の公務が増えたた めに、行うことができなかった。29年度に札幌市を中心に調査する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
29年度は11月に北米スポーツ社会学会で、アメリカ人のバスケットボールコーチに対するインタビュー調査結果について研究発表を行う予定である。その発表の際に、アメリカのデトロイトを訪問し、他のバスケットボールコーチに対するインタビュー調査を行う予定である。また8月から3月にかけて、札幌市近郊のバスケットボール指導者10名に対するインタビュー調査を行う予定である。さらに2月にアメリカを訪問し、バスケットボールコーチへのインタビュー調査を行う予定である。今後、これらのインタビュー調査の結果について国内外の学会で発表する予定である。さらに、これまでのインタビュー調査の結果をもとに論文の作成を行う予定である。
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Causes of Carryover |
28年度にアメリカで行う予定であった質問紙調査を中止したために、郵送代などが予定よりも余った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
29年度にインタビュー調査を行うときに、前年度使用額を聞き起こし代として使用する予定である。
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Research Products
(2 results)