2015 Fiscal Year Research-status Report
積雪寒冷地域における冬季の運動阻害要因と身体活動量の減少が健康を阻害するプロセス
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26350841
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Research Institution | Hokusho University |
Principal Investigator |
小田 史郎 北翔大学, 生涯スポーツ学部, 教授 (70347813)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 運動 / 健康 / 阻害 / 冬季 / 季節 / 身体活動 / 睡眠 / 食 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、北海道の沼田町と安平町で実施した運動阻害要因に関するアンケート調査(研究Ⅰ)の分析を進めた。両町とも運動習慣者の割合は2~3割であり、冬季以外に比べて冬季に約5%減少する傾向がみられた。また冬季以外に運動習慣を有している人が冬季にも運動習慣を継続する割合は両町とも約7割であり、両町とも約3割の人は冬季に運動を中断していることが明らかとなった。 本研究では運動阻害要因を「その問題が解消されない限り運動できないくらいの決定的な要因」に注目して検討した。年間を通じて運動習慣がない人では、「時間の余裕がなかった」「気持ちの余裕がなかった」「積極的に身体を動かしたいという意欲がわかなかった」「運動することを面倒と感じた」といった理由が上位に挙げられ、有意な季節差も認められなかった。冬季のみ運動習慣がない人では、寒さや積雪などの環境要因を決定的な要因として挙げる割合が高かった。両町とも「家のまわりの路面が凍っていたから」が最も多く、積雪量の多い沼田町では「雪かきで十分身体を動かした」「家のまわりに雪が積もっていた」といった積雪関連の理由が多くみられたのに対し、寒さが厳しい安平町では、積雪による理由は少なく「寒いから」が上位を占めるなど、地域差が認められた。 以上の研究成果は、特に冬季における身体活動量の確保に向けた方策を考えるための重要な資料としても活用する。 さらに本年度から、冬季に身体活動量の減少に先行する心理・生理的変化や身体活動量の減少が健康に悪影響を及ぼすプロセスに関する研究(研究Ⅱ)を開始した。平成27年度は運動習慣を有する中高年者16名に、9月から3月にかけて毎月1週間の身体活動量の測定と健康等に関する調査を行った。歩数やエネルギー消費量の顕著な季節変動は認められず、体重や健康感、睡眠や食事など他の生活習慣、心理状態等の冬季における悪化も認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究Ⅰの研究成果について論文投稿に至っていない。研究Ⅱは、運動習慣のない中高年者での検討ができていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、まず研究Ⅰの論文公表を行う予定である。併せて、平成27年度の引き続き、研究Ⅱを進める。運動習慣者のデータを8月まで収集し、同時に分析を進める。さらに、運動習慣のない高齢者を対象としたデータ収集を行う。地域の老人クラブ等との連携を活用し、被験者の募集にあたる予定である。
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Causes of Carryover |
研究Ⅱにおいて十分な被験者が確保できなかったことと、3月末まで身体活動量の測定等を実施していた一部の被験者の謝金の手続きが間に合わなかったことで409,565円が次年度に繰り越しとなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
未支払い分の謝金については、平成28年度当初に執行する。これを除く繰り越し分は、平成28年度に新たに実施するデータ収集分の被験者謝金として支出する予定である。
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Research Products
(3 results)