2014 Fiscal Year Research-status Report
地域在住高齢者における咳嗽力の実態と咳嗽力改善プログラムの効果
Project/Area Number |
26350842
|
Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
金子 秀雄 国際医療福祉大学, 保健医療学部, 准教授 (20433617)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 地域在住高齢者 / 咳嗽力 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本人死因の第3位の肺炎は、そのほとんどが高齢者であり、誤嚥性肺炎が大半を占める。誤嚥性肺炎の予防には、細菌流入防止のための口腔ケアが重要であり、誤嚥が生じた際には誤嚥物を排出させる咳嗽力が必要となる。しかし、地域在住高齢者において咳嗽力がどの程度保たれているのか不明である。そこで、今年度は地域在住高齢者における咳嗽力の実態調査とその関連因子を検証することを目的とした。対象者は福岡県大川市在住で介護予防事業(一次予防事業)に参加している高齢者114名とした。対象者は咳嗽力含む呼吸機能、口腔嚥下機能、運動機能、活動能力を測定した。咳嗽力(咳嗽時最大呼気流量)、努力性肺活量、呼吸筋力(最大吸気圧、最大呼気圧)の測定には、それぞれピークフローメータ、スパイロメータ、口腔内圧計を用いた。口腔機能としてオーラルドコキネシス、嚥下機能として反復唾液嚥下テストを使い、異常の有無を判定した。運動機能はTimed up and go test、30秒立ち上がりテスト、活動能力には老研式活動能力指標を用いた。自己排痰に必要な咳嗽力となる240L/minを基準とし、それ未満の対象者(低下群)とそれ以上の対象者(維持群)の2群の比較と2群の判別に関連する因子の検証を行った。その結果、低下群は22名(19%)、維持群は92名(81%)であり、口腔機能と活動能力を除いた機能は低下群で有意な低値を示した。そして低下群の判別における有意な独立因子は努力性肺活量と起立能力であった。地域在住高齢者の約2割が自己排痰に必要な咳嗽力を保てておらず、咳嗽力の低下を防ぐためには特に肺活量と起立能力を保つことが重要となる可能性が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
地域在住高齢者における咳嗽力を調査し、実態を把握することができた。これを基礎資料にしながら、次年度に予定している咳嗽力改善プログラムの実施につなげることができる。
|
Strategy for Future Research Activity |
地域在住高齢者における健康増進および誤嚥性肺炎予防対策の一つとして、咳嗽力改善プログラムの効果検証を行う予定である。昨年度の咳嗽力実態調査を実施した各地区の代表者と連絡をとり、対象者を募集する。代表者と連携する中で介入群と待機群の2群を設定する。咳嗽力改善プログラムは非監視型で行うが、確認のための指導と測定は参加しやすい場所と日時を設定することで、脱落者を最小限に抑えられるように進めていく。
|
Causes of Carryover |
予定していた学会に抄録が間に合わず、研究成果発表のための旅費が発生しなかったことが理由としてあげられる。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、研究成果の発表に必要な必要として利用する予定である。
|