2017 Fiscal Year Research-status Report
過重労働による健康障害発生メカニズムの解明に関する研究
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26350847
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
小田切 優子 東京医科大学, 医学部, 講師 (90276907)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高宮 朋子 東京医科大学, 医学部, 講師 (40366133)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 過重労働 / 微量元素 / ミネラル / 疲労 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、労働者を対象として過重労働による健康障害のメカニズムを検討することであり、平成29年度は某社(情報通信業)の健康診断受診者に協力を依頼した。男性161名(平均年齢44.9±10.1歳)、女性79名(平均年齢41.6±9.3歳)、あわせて240名から仕事とストレスに関する調査票の回答とOligoScanによる生体内微量元素・ミネラルおよび酸化ストレス指標である尿中8-OHdGの測定結果を得た。 対象者の総労働時間はひと月あたり平均190±39時間(中央値180時間)であった。総労働時間が180時間より長い群では短い群と比べて疲労得点、身体愁訴得点、およびK6得点が高かった。生体内微量元素・ミネラルは、銅、亜鉛、鉄に有意差が認められ、労働時間の長い群で値が高かった。また労働時間が長い群は短い群と比較して年齢が若くBMIが高く、AST、ALT、LDL-Cholesterolが高く、HDL-Cholesterolが低かった。 労働時間の長さと疲労得点との間に関連が認められたことから疲労に着目して検討を行ったところ、疲労得点と相関が認められた生体内微量元素・ミネラルは鉄でr=-0.163の弱い相関が認められた。先行研究で疾患と関連することの報告が多い亜鉛では関連が認められなかった。精神健康度の指標であるK6得点とは亜鉛をはじめとして有意な関連が認められた微量元素・ミネラルはなく、尿中8-OHdGとの関連も認められなかった。 今後、生活習慣や病歴情報も突合し、複合的に検討を継続していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究代表者の産休育休による研究の一時中断と研究協力事業場の労働組合の事情によりデータの取得が遅れたこととに由来する。平成29年度内にデータを取得できたので現在論文執筆に向けてデータ分析中である。
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Strategy for Future Research Activity |
労働者の健康管理において過重労働、特に長時間労働を避けることとあわせて、バランスの取れた食生活が重要である。体内微量元素およびミネラルバランスについてはまだ一般健康人のデータが少なく本研究は貴重なデータであると同時に、その推移も重要と考えられることから、今後は縦断的データの取得についても検討していく。
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Causes of Carryover |
使用額はデータ数に大きく依存する。昨年取得できたデータ数は目途とした数がほぼ取得できたが、再検も含めて予算立てしていた検体分析料が安価で済んだことが主たる原因である。
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