2015 Fiscal Year Research-status Report
歩行速度が著しく低下した高齢者においても利用可能な歩数計の開発
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26350855
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Research Institution | Osaka Electro-Communication University |
Principal Investigator |
関根 正樹 大阪電気通信大学, 医療福祉工学部, 准教授 (50373494)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 歩数計 / 角速度 / 高齢者 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,数種類のMEMSセンサの情報を融合した歩数カウントアルゴリズムを構築し,17m/min(≒1.0km/h)以上の歩行速度では誤差10%以内,33m/min(≒2.0km/h)以上の歩行速度では誤差5%以内となる超低速度歩行に対応した歩数計の実現を目的とする. 本年度は,通所リハビリテーションを利用する高齢者を対象に,昨年度試作した加速度センサと角速度センサを内蔵する装着型動作計測装置を腰背部中央と腰部前方に装着し歩行を計測した.また,装着型動作計測装置による歩行計測と同時に3種類の市販の歩数計による歩数の計数を行い,比較対象となる市販の歩数計の低速度歩行に対する精度を確認した. 歩行は,各被験者の歩行能力に合わせて施設内の1周50mの周回コースを2周または3周とした.被験者には,健常高齢者の他に,脳卒中片麻痺者,パーキンソン病患者,変形性膝関節症,膝前十字靭帯損傷患者が含まれ,今回計測された歩行速度の範囲は1.9km/hから4.3km/hであった.昨年度の成果としてトレッドミル上の歩行では1.0km/hの超低速度においても体軸周り(ヨー方向)の角度信号は1歩1歩が確認できるパターンとなることが確認されたことから,今回の周回コースでの歩行に対してもヨー方向角度信号を中心に歩数計数の精度を検討した.その結果,歩行速度が2km/h未満の場合,3種類の市販の歩数計での計数は実際の歩数の0%から50%の値を示したが,ヨー方向角度信号では実歩数の87%程度(誤差13%程度)で計数可能であることが確認された.一方で,歩行速度が2km/h以上の場合において市販の歩数計より計数誤差が大きくなる場合もみられた.また,静止立位の状態においてしばしば誤計数してしまうことが確認された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画通り,平成26年度に開発した装着型動作計測装置を用いて健常高齢や下肢に何らかの機能障害をもち歩行速度が低下した高齢者を対象に歩行の計測を開始した.高齢者を対象とした実環境に近づけた条件での計測を行った結果,歩数カウントアルゴリズムに新たな課題が浮上し,その対応については検討中であるため,歩数カウントアルゴリズムの開発にやや遅れが生じている.
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Strategy for Future Research Activity |
試作した装着型動作計測装置を用いて,主に通所リハビリテーションを利用する脳卒中片麻痺者,パーキンソン病患者,膝関節置換術や骨折経験者などの下肢に何らかの機能障害をもつ高齢者を対象にした歩行の計測を引き続き実施し,多様な高齢者の低速度歩行に対応した歩数カウントアルゴリズムの完成を目指す. また,歩行速度2km/h以上における誤計数の増加や静止立位時の計数誤差は,超低速度において一歩を検出するために感度を高めた影響であると考えられ,適切な感度を検討し,歩数計の完成を目指す.
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Causes of Carryover |
差額が生じた主な理由は,当初は2つの施設での臨床実験を今年度から開始予定とし2台の計測用PCを計上したが,臨床実験に関わる計測用ソフトウェアや計測プロトコルなどの確認のため,今年度は臨床実験の実施を1つの施設でのみとしPCの購入を1台としたためである.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
臨床実験に関わる計測用ソフトウェアや計測プロトコルなどの確認が取れたため,差額でもう一方の施設で計測するためのPCを購入し,2つの施設で同時に臨床実験できる環境を構築して歩数カウントアルゴリズムの検証に十分な被験者数を確保する.
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