2014 Fiscal Year Research-status Report
禁煙社会を目指した健康リスク回避のための受動喫煙定量化と禁煙教育プログラムの開発
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26350860
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Research Institution | Gifu City Women's College |
Principal Investigator |
中村 こず枝 岐阜市立女子短期大学, その他部局等, 准教授 (60444270)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桑野 稔子 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 教授 (20213647)
井上 広子 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 助教 (60438190)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 受動喫煙 / 家族 / 小児 / 青年期女子 / 尿中コチニン / 質問紙 |
Outline of Annual Research Achievements |
喫煙は有害であるにもかかわらず、小児の受動喫煙への曝露が減っていない状況を示す基礎データを得るため、小児の受動喫煙状況を客観的に評価した。平成26年度には、幼児の受動喫煙状況について、保護者への質問紙調査と客観的手法である尿中コチニン濃度測定を行った。G県Y市在住の保育園児(3~6歳)453名を対象とした。453名中340名(75.1%)の保護者が参加に同意し、自記式調査票への回答と早朝第一尿の採尿を行った。質問紙では、年齢、性、体格、家族構成、既往歴、生活習慣、食習慣などの質問に加え、家族の喫煙状況を尋ねた。尿中コチニンを酵素免疫測定法で、尿中クレアチニンをJaffe法で測定し、尿中コチニンをクレアチニンで除すことで補正を行った。質問紙による家族内喫煙は51.8%、コチニンの中央値は11.0 ng/mg Creであった。受動喫煙の基準を5 ng/mg Creとしたところ、受動喫煙ありと判断された幼児は333名中257名(77.7%)であった。質問紙による家族からの受動喫煙率は51.8%であったが、尿中コチニン値で評価すると77.7%であり、質問紙による受動喫煙評価があいまいであることがわかった。また、この結果は参加した幼児に個別結果アドバイスシートとして返却した。 青年期女子の受動喫煙状況を大学2年生55名(参加率91.7%)において調査した。質問紙を用いて自分の周囲の喫煙状況についての質問をし、同時に試験紙を用いて尿中コチニンを半定量した。周囲に喫煙者がいると回答した者は31名(56.4%)であった。コチニン陽性者は全体の40%で、質問紙で周囲の喫煙がない24名中の8名(33.3%)、周囲の喫煙がある31名中の17名(45.2%)がコチニン陽性であった。質問紙による周囲の喫煙の有無と尿中コチニン陽性・陰性との間に有意な関連はなく、質問紙による受動喫煙評価が難しいことを示唆した。平成27年度は学童での受動喫煙実態調査を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成26年度は幼児の調査の調査を完遂した。尿中コチニン濃度測定を分析業者に委託せず、研究分担者と協力して行ったため、安定した測定値を得ることが出来るまで若干時間を要した。また、質問紙の入力作業にも予定していたより時間がかかった。平成26年度中に調査参加者への情報提供は行うことが出来たが、詳細な分析は今後進めていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、G県Y市在住の学童について、平成26年度の幼児での調査と同様に、質問紙と尿中コチニン測定を用いた受動喫煙実態調査を行う。すでに、当自治体の保健担当者との打ち合わせも回を重ね、平成27年度5月~6月にかけて調査を行う準備を順調に進めている。昨年度は対象者453名であったが、今年度は約1400名であり規模が大きくなるが、昨年度の調査実施の経験もあり、今後の研究計画を完遂できない可能性は低いと考えられる。尿中コチニン測定を業者委託で行うことから、昨年度に測定を担当していた研究分担者が解析を担当することとなり、更に詳細な解析が進むものと考えられる。 青年期女子についても、平成26年度同様に、質問紙と尿中コチニン測定を用いた受動喫煙実態調査を継続して行う。
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Causes of Carryover |
研究開始当初は平成26年度中に、幼児、学童とも受動喫煙実態調査を行う予定だったが、Y市の小学校において同時期に、他の疫学調査が予定されており、我々の調査を行う時期を延期してほしいとの申し出があった。そのため、学童の調査は平成27年度に行うこととなり、受動喫煙を客観的に評価する尿中コチニン測定ELISAキットの平成26年度購入必要数が予定していたより少なくなった。また、尿中コチニンELISA測定キットは、使用期限が製造から約半年であり、平成27年度中に使用予定のキットはあらかじめ購入しておくことが出来ないため、平成26年度交付額を次年度で使用することとした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度、学童の受動喫煙実態調査を行うため、尿中コチニン測定費用として使用する予定である。
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