2014 Fiscal Year Research-status Report
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26350865
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Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
藤巻 康一郎 県立広島大学, 保健福祉学部, 教授 (50324570)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 閾値下抑うつ / 近赤外線スペクトロスコピー / うつ病予備群 / 客観的補助評価法 / 前頭葉皮質活動性 / 酸化ヘモグロビン濃度変化 / 意欲低下 / ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
うつ病患者では,うつ病の診断を満たす以前にも軽度の抑うつ症状が認められることから,うつ病患者の早期発見や「うつ病予備群」への早期対応が求められている。この状況において,ストレスへの主観的認知の高まりや閾値下の抑うつ気分・意欲低下をもつ成人健常者を早期に発見し,予防的介入を行うための生物学的診断指標を構築することを最終目標とし,下記の研究を継続している。 研究参加の同意が得られた成人健常者を対象に, ステップ1)健常者において,生活の質(Quality of Life: QOL),ストレス,抑うつ及び意欲低下への主観的認知を評価するため,自記式認知尺度を使用し,点数化する。 ステップ2)連続加算テストを賦活課題として,近赤外線スペクトロスコピーによる酸化ヘモグロビン濃度を測定し,平均血流量変化を算出する。 ステップ3)閾値下抑うつ・意欲低下と,QOL,ストレス,精神運動速度,平均血流量変化との間の相関係数を算出し,閾値下抑うつ・意欲低下への主観的認知が,QOL,ストレス,精神運動速度,前頭前野の平均血流量変化と連動しているか否かについて統計学的評価を行う。 現時点で,38名の対象者において,上記ステップ3までを終了しており,右前頭前野酸化ヘモグロビン濃度変化とうつ病自己評価尺度との間に負の相関がみられている。この結果から,タスク時の右前頭前野酸化ヘモグロビン濃度変化の減少が,閾値下抑うつの指標の一つであることが示唆されたと言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現時点で38名の被験者に対し,閾値下抑うつ・意欲低下と,QOL,ストレス,精神運動速度,平均血流量変化との間の相関係数を算出した。その結果から,閾値下抑うつへの主観的認知が,右前頭前野の平均血流量変化と連動しているという統計学的評価を行った点で,当初計画通りに研究は進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の方針として,被験者数を増やし,閾値下抑うつ・意欲低下と,QOL,ストレス,精神運動速度,平均血流量変化との間の相関係数を算出し,加えて,閾値下抑うつ性評価・意欲低下の評価を目的変数として,ストレス評価・社会機能及び生活の質・脳血流量変化・精神運動速度・年齢・知能指数を説明変数として,多変量重回帰分析を行い,発症前状態の予測モデルを作成することを予定している。
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Causes of Carryover |
基盤研究(C)の交付決定前に、研究開始に向けて準備を進めたことにより、内田クレペリン検査標準型用紙等を他の研究費から購入した。そのため、次年度使用額(B-A)が生じものと考えられる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度において、被験者数に合わせた必要分の心理テスト用紙購入費や近赤外光トポグラフィー脳機能測定装置のホルダー・プローブ洗浄のためのアルコール綿(または、アルコールタオル)購入費および本研究主題と関連のある学会への旅費等に本研究費を使用する予定である。
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