2014 Fiscal Year Research-status Report
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26350874
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
川口 英夫 東洋大学, 生命科学部, 教授 (50416921)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | メンタルヘルス / 予兆把握 / 筆跡 / コホート調査 / 内田クレペリン検査 / デジタルペン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、内田クレペリン検査における筆跡の時間情報を用いた指標(特徴量)を用いて、定量的なメンタルヘルス不調の予兆把握ができる手段を確立することである。 今年度は200名のボランティア学生を対象としたコホート調査(追跡調査)の3年目の調査を4月に実施した。調査初年度から3年目まで全てのデータが揃っている被験者は166名であった。具体的な調査項目は、内田クレペリン検査(ひと桁の足し算を繰り返すストレス負荷検査)・GHQ30質問票(精神健康度の調査票)・NEO-FFI質問票(5因子性格調査票)である。筆跡情報の取得にはデジタルペン(Anoto社製APD-201:時空間分解能:13 ms, 0.3 mm)を用いた。 内田クレペリン検査で取得した数字の筆跡データを解析し、上記の指標を基にメンタルヘルス不調のハイリスク群(14人)とローリスク群(152人)の2群に分けた。この2群間において、GHQ30質問票の社会的活動障害尺度のスコアが有意に異なった(初年度 p < 0.05、3年目 p < 0.05)。また、休学・退学率を見ると、ハイリスク群はローリスク群に比べて発生率が10倍高かった。これらの結果から、指標はメンタルヘルス不調の予測力を持つことが示唆された。 しかしながら、医務室と連携してメンタルヘルス不調と休学・退学率との関係を追跡したが、休学者・退学者で医務室に来室していた学生は1名のみであったため、医療面での関係性は明確にできなかった。一方、内田クレペリン検査で通常用いられる計算個数による評価とメンタルヘルス不調の関係も調べたが、計算個数ではメンタルヘルスの予測はできないことが判明した。 以上の研究成果を纏めて、11月に米国Washington, DCで開催された北米神経科学会(Society for Neuroscience)の年会でポスター発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の採択時に提出した交付申請書に記載している『平成26年度の研究実施計画』を鑑みると、今年度は調査も解析もほぼ100%実施した。コホート調査の面でも、本研究の目的である『筆跡情報を用いてメンタルヘルス不調の予兆把握ができることを検証する』ことも達成しつつある。また、11月に米国Washington, DCで開催された国際学会(北米神経科学会:Society for Neuroscience)で発表した際の研究者との議論を通して、研究の方向性が間違っていないことが確認できた。以上より、現在までの達成度は、おおむね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究はコホート調査(追跡調査)であるため、本研究の採択時に提出した交付申請書に記載した『平成27年度の研究実施計画』に沿って、平成26年度と同様の調査および解析を実施する。調査内容を変更してしまったらコホート調査の意味がなくなるためである。ただし、今後は従来と同じ解析方法だけでなく、筆跡情報の動的な変化に着目した新規な解析を実施して新しい展開を目指す。さらに、単に『メンタルヘルス不調の予兆把握』だけでなく、『予兆が見つかった際の対処方法』についても、現実的な手段がないか検討することを考えている。 平成27年度も国際学会で成果を発表し、研究者との議論を通して外部評価を受け、解析方法や結果の評価が妥当であるか検討する予定である。
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Research Products
(4 results)