2015 Fiscal Year Research-status Report
変形性股関節症患者におけるQOL維持・改善に向けた縦断的研究
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26350875
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Research Institution | Komazawa Women's University |
Principal Investigator |
藤城 有美子 駒沢女子大学, 人文学部, 准教授 (40318283)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平部 正樹 東京未来大学, 公私立大学の部局等, 講師 (20366496)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 変形性股関節症 / Quality of Life / 患者教育 / 自己効力感 / セルフ・コントロール |
Outline of Annual Research Achievements |
変形性股関節症の保存的治療では、適切な医療ケアとともに、本人による生活習慣の継続的な自己管理が求められる。平成27年度には、①第1回調査(前年度より継続)、②第2回調査(第1回調査の1年後月~)、③データ入力、④データベース作成、⑤研究会議、⑥第1回調査の中間分析を行った。 リハビリテーション病院で、保存的治療に導入された変形性股関節症患者132人に調査への参加協力を依頼し、同意を得られた131人に対して調査を行った。調査票は、患者本人が記入する自記式調査票と、医療スタッフ記入調査票の2種類を用いた。自記式調査票は、基本属性、生活習慣の自己管理(運動、食習慣、休養)、自己効力感、QOL、病歴、症状から構成した。QOLの測定には、WHO SUBと、SF-36日本語版を用いた。また、患者は毎日の痛みをVASを用いて記録し、初診時に持参した。医療スタッフ記入調査票からは、治療歴や重症度に関連するデータを得た。 117人の患者が回答した(男性7人女性110人、平均年齢60.1歳±10.09)。疼痛の強さは、SF-36の下位尺度の「日常役割機能(精神)」と「心の健康」以外の尺度と有意な関連が見られた。疼痛の変動幅は「日常役割機能(精神)」のみと関連が見られた。 69人(60.5%)の患者は、運動に関する自己管理に問題があると感じていた。SF-36では、身体的QOLサマリースコアだけでなく、役割/社会的QOLサマリースコアも国民標準値より低かった。ただし、SF-36の身体的QOLサマリースコアと役割/社会的QOLサマリースコア間に有意な相関はなかった。また、身体的QOLサマリースコアは、運動の自己管理および休養の自己管理との間に正の相関を示したが、役割/社会的QOLサマリースコアは、いずれの自己管理とも有意な相関が見られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度の調査が9月からの開始となったため、全体に進行がやや遅れている。 また、平成27年度より、第1回調査の継続実施に加え、1年後の再調査である第2回調査が並行して実施されている。参加者によっては、再診のタイミングが前後するため、医療スタッフによる臨床データの採取と、本人が自記式調査票に回答することで得られるデータの採取の時期がズレることがあり、慎重に対応している。なお、医療スタッフの通常業務との兼ね合いで、1日に臨床データを採取できる人数には上限がある。
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Strategy for Future Research Activity |
当初は、医療スタッフの負担への配慮として、第1回調査の実施は平成27年8月末までとし、第2回調査の実施と時期が重ならないようにする予定であったが、実施先医療機関の協力により、協力者数を確保するため、第1回調査はそのままエントリーを継続し、各自初診から1年経ったところで、順次第2回調査に導入することとなった。 さらに、平成28年度9月以降は、第3回調査(初診から2年後)が開始される予定である。
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Causes of Carryover |
初年度に、調査で使用するQOL尺度「SF-36」のライセンス取得に予定より時間がかかったこと、2施設調査を予定していたのが、協力機関の都合で1施設となったことなどにより、調査開始時期が予定よりもやや遅れていた。そのため、当該年度中に第2回調査に導入できる人数が当初の予定よりも少なく、そのために物品費とその他の項目で残額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度も第1回調査へのエントリーを継続することで、次年度使用額の一部をそれに充てる。また、協力機関との細かな調整で、打ち合わせの回数が予定より多くなっており、次年度使用額の残りは旅費に充てるものとする。
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