2014 Fiscal Year Research-status Report
FGF21遺伝子に注目した肝臓におけるエピジェネティックメモリーの解析
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26350884
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
袁 勲梅 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (70392404)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | FGF21 / 先制医療 / PPARα / エピジェネティクス / DNAメチル化 / DOHaD / エピゲノム記憶 |
Outline of Annual Research Achievements |
胎生期から乳児期の栄養環境が将来の生活習慣病の易罹患性を規定することが示唆されており、その分子機構として遺伝子発現のエピゲノム制御が注目されている。糖脂質代謝の鍵分子Fibroblast Growth Factor 21(FGF21)は核内受容体peroxisome proliferator-activated receptor(PPAR)αの標的遺伝子である。しかし、その遺伝子発現のエピゲノム制御の有無やエピゲノム変化が長期に維持されるか否かは未だ不明である。本研究は胎仔期から成獣期のマウス肝臓におけるFGF21遺伝子発現のDNAメチル化制御機構を明らかにし、そのエピゲノム変化が長期に維持されるかを検証することを目的としている。平成26年度は、周産期の母獣(野生型)にPPARα人工リガンド(Wy)を投与し、生後2日、16日、4週、14週齡の産仔(Wy群)の肝臓におけるFGF21遺伝子のDNAメチル化、遺伝子発現、血清FGF21濃度を解析した。またPPARαノックアウト(KO)マウスを用いて同様の解析を行った。乳仔期ではWy非投与群と比較して、Wy群においてFGF21遺伝子のDNA脱メチル化が亢進していた。このDNAメチル化状態は成獣期(14週齡)まで維持され、Wy群ではFGF21遺伝子発現と血清FGF21濃度の増加が認められた。PPARαKO マウスではFGF21遺伝子のDNA脱メチル化は乳仔期から成獣期を通して認められなかった。これらの結果よりFGF21遺伝子では、胎児期から乳児期におけるPPARα活性化を介したDNA脱メチル化状態が成人期まで維持される「エピゲノム記憶」が存在する可能性が示唆された。本研究成果は、周産期の栄養介入による、将来の生活習慣病に対する「先制医療」の手掛かりとなることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度の研究で、マウス胎仔期から乳仔期に形成されたPPARαを介したFGF21遺伝子のDNA脱メチル化状態が成獣期まで維持される「エピゲノム記憶」が存在することが明らかとなり、現在その代謝表現型に与える影響も解析中である。解析は順調に進んでおり、今年度中には研究成果をまとめた論文を発表できる見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
PPARαを介したFGF21遺伝子のDNA脱メチル化の分子メカニズムを解明していく。さらにFGF21の「エピゲノム記憶」の分子機構の解明および「エピゲノム記憶」がどのように糖脂質代謝に影響するのかを解析して行く予定である。
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Research Products
(3 results)