2015 Fiscal Year Research-status Report
XV/XVIII型コラーゲンとミトコンドリア間の分子機構
| Project/Area Number |
26350892
|
|---|
| Research Institution | Okayama University |
|---|
Principal Investigator |
百田 龍輔 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (80263557)
|
|---|
| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大塚 愛二 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (50168986)
内藤 一郎 岡山大学, 医学部, 客員研究員 (60362993)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
| Keywords | コラーゲン / 基底膜 / ミトコンドリア / ショウジョウバエ / アンギオテンシンII受容体1型 / チュブリン / アクチン / 細胞内骨格 |
|---|
| Outline of Annual Research Achievements |
我々はショウジョウバエXV/XVIII型コラーゲン相同分子Mpをコードする遺伝子の変異で加齢性のミトコンドリア変性がみられたことから、細胞外マトリックスタンパク質Mpとミトコンドリアとの間にある分子機構を明らかにすることを目的として、細胞膜上のGプロテイン受容体（GPCR）の検索、細胞内骨格の構造解析を行っている。また、拡張型心筋症の症例を中心に、XV/XVIII型コラーゲンの関与が考えられるヒト疾患の検索を進めている。
前年度に絞り込んだ候補GPCRの機能解析を現在進めているところである。
今年度の成果としては、新たに作成した複数のmp遺伝子変異ショウジョウバエについて、その表現型の解析を行った。さらに、それらの表現型について、電子顕微鏡を用いた詳細な形態学的解析を行った結果、mp遺伝子変異型ショウジョウバエでは細胞内骨格構造が変化することを見出した。特に、その構造変化はMpの存在する上皮組織の基底面よりも自由面の側で著しくなっており、その結果管腔形成などに影響が起きていることを見出した。この結果は、XV/XVIII型コラーゲンノックアウトマウスで見られた血管形成や神経管形成異常と相同の分子機構の関与を示唆するものである。
この観察結果について、前年度に作成したmp遺伝子ドライバーショウジョウバエ系統による強制発現系を用いて、mp発現細胞中での細胞骨格の構造、そして、ミトコンドリアを始めとする細胞内小器官の局在・機能の変化について現在解析を進めている。
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
XVIII型コラーゲンノックアウトマウス由来の細胞の入手が当初の予定通りに行かなくなったため、それに替わる系を立ち上げる必要が生じた。
抗体と病理標本を用いて、ヒトXV/XVIII型コラーゲン関連疾患の症例検索を進めているが、まだ見つかっていない。
また、大学のカリキュラム改編のため、今年度は学生実習期間が2倍となり5か月間に及ぶなど、研究に集中して取り組む時間を十分にとることができなかった。
しかし、H27年度はこれまでのMp変異体で未解決だった現象について、新たなブレークスルーとなる知見を得ることができ研究は大きく進展したとも言える。
以上を総合的に踏まえて「やや遅れている」と評価した。
|
| Strategy for Future Research Activity |
H26, H27年度の成果を踏まえて計画のとおり進めてゆく。
特に、H27年度に明らかになった細胞内骨格の変化を中心に解析を進めて、in vitro/in vivoの両方の系で、mp遺伝子発現強制発現・ノックダウンの系による、細胞内骨格構造や細胞内小器官の局在の変化、ミトコンドリアの構造と機能への影響を調べる。
|
| Causes of Carryover |
大学のカリキュラム改編の影響で、解剖実習を2回実施することとなり、約５ヶ月もの間、集中して研究を行うための肉体的・時間的な余裕がなかったことが一番の理由として挙げられる。
H28年度からは例年通り実習期間は1回に戻るので昨年度よりも研究により集中し進められると思う。
|
| Expenditure Plan for Carryover Budget |
mp遺伝子変異体に見られた異常な細胞内骨格構造について、今後in vitro/in vivoの両方の系で検討を行ってゆく。そのために必要な培養細胞、ショウジョウバエ・マウスなどモデル動物の購入、抗体などの試薬を購入する予定である。
|
Research Products
(1 results)
