2014 Fiscal Year Research-status Report
種々の脂肪酸摂取および直接投与が心血管機能に及ぼす効果の検討
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26350904
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Research Institution | Josai University |
Principal Investigator |
加園 恵三 城西大学, 薬学部, 教授 (90177387)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野部 浩司 城西大学, 薬学部, 准教授 (30276612)
竹之内 康広 城西大学, 薬学部, 助手 (30582233)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 糖尿病 / 血管内皮機能障害 / EPA / DHA |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、糖尿病性血管内皮機能障害に対するEPA-Eの有効性を明らかにすることを目的として以下の検討を行った。 【方法】1.実験動物 2型糖尿病モデルマウス(KKAy雄性)に通常食餌を4週間・高脂肪食(HF食)を8週間負荷した後ランダムに2群に分け、HF食(KKAy-HF群)及びHF+EPA-E食(KKAy-HF+EPA-E群)を4週間負荷した。また、対照群として16週間通常食を負荷したC57Bl/6Jマウスを用いた。EPA-ester(EPA-E)の投与量は130mg/dayとした。 2.血管応答測定法 マウスより胸部大動脈(aorta)を摘出し、血管内皮無傷標本を作製し、1.5gの静止張力をかけて等尺性に発生張力を記録した。反応は、prostaglandinF2α (PGF2α;10-6~5×10-6M)により生じた最大張力上昇に対し、acetylcholine (ACh)、sodium nitro prusside (SNP)を累積投与して張力変化を測定した。また、 EPA(10-5M)、EPA-E、DHA、DPAとこれらの試薬の溶媒であるmethanolをマグヌス装置内に直接投与し弛緩反応を測定した。【結果】1.EPA-E慢性投与aortaにおけるacetylcholine(ACh) 累積弛緩反応への影響;PGF2αによる最大張力にAChを累積的に投与したところ、C57Bl/6J群と比べて、KKAy-HF群で有意な弛緩率の減弱が見られた。EPA-Eを慢性投与したKKAy-HF+EPA群においてはKKAy-HFと比べて顕著な弛緩率の増加が見られた。PGF2αによる収縮上昇を100%とするとそれぞれの最大弛緩率はC57Bl/6Jで79%、KKAy-HFで69%、KKAy-HF+EPA-Eで87%となった。2 EPA-Eおよび、その代謝物直接投与による弛緩反応;EPA-E、EPA、DHA、DPA、methanolをaortaに投与した。EPA、DHA、DPAでは弛緩がみられたが、EPA-E、methanol では弛緩が見られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度は、EPA、DHA、パルミトオレイン酸、オレイン酸などの脂肪酸摂取による血管弛緩反応を検討する予定であった。現在、パルミトオレイン酸についてもほぼ検討は終了している。よって平成26年度の研究推進常用は、ほぼ予定通りであると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
各種脂肪酸摂取だけでなく、脂肪酸の血管反応に対する直接作用も検討するために、胸部大動脈を取り出してマグヌス装置内で薬理学的検討も進めた(ex vivoによる検討)。この結果、EPA,DHAは比較的短時間で血管反応に影響を及ぼすことが判明した。このことから、短時間でのEPA、DHAの作用は、血管平滑筋より血管内皮に対する作用であることが予想される。このため、今後血管内皮細胞を用いたin vitroでの実験研究を追加する予定である。また、EPAのヒトの血管機能への影響も検討する目的で、男子駅伝部にも協力を依頼し、EPA服用前後での血管内皮機能をFMD検査により比較検討する予定である。
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Causes of Carryover |
EPAおよびDHA摂取による血管機能への影響に関する検討はほぼ計画通り終了したが、パルミトオレイン酸摂取による血管機能への影響に関する検討がやや遅れたため。また、平成27年度予定の実験の準備を一部実施する予定であったが、これを平成27年度に実施することになったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
パルミトオレイン酸摂取による血管期のへの影響に関する検討を完了する。また、平成26年度の研究実績で報告したように、各種脂肪酸の血管内皮細胞に及ぼす直接作用を検討する目的で、ヒト由来大動脈血管内皮細胞株を購入し、in vivoにおける検討を実施する予定である。また、当初より平成27年度に予定していた実験についても実施する。
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