2015 Fiscal Year Research-status Report
短時間の高強度の運動が体脂肪分布、血中代謝指標、脂肪酸分画に及ぼす長軸的な効果
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26350905
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
河合 俊英 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (10276230)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 運動療法 / 体脂肪分布 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は「時間がないので運動ができない」患者(Sato Y et al. Diabetol Int, 2012)にとっても効果的に行うことができる高強度の運動(high-intensity interval training (HIIT))について着目し、治療の一環としての有効性を検討した。まず、健常男性12名を対象として、1回16~24分、週2回、16週間、下肢エルゴメーター(Leg cycling (LC))のみを90%VO2以上で行う群(n=7)と、下肢エルゴメーター(LC)に上肢エルゴメーター(Arm cycling (AC))を加えて90%VO2以上で行う群(n=5)とに無作為に分けて、実施前後での運動耐容能、体組成を評価した。LCによる評価で、LC群では、最大運動レベルが217±27→267±18 (Watt)へと23.4%有意に改善した一方、LC+AC群でも、225±32→250±23 (Watt)へと11.0%有意に改善した。ACによる評価では、LC群では93±12→94±20 (Watt)と有意な変化を認めなかったものの、LC+AC群では96±12→120±8 (Watt)へと25%の有意な改善を認めた。体組成の変化では、大腿四頭筋面積が、LC群では、69.8±8.3(cm2)→75.2±10.1(cm2)へと、LC+AC群では75.4±5.7(cm2)→79.3±7.5(cm2)へと有意な増加を認めた。経口糖負荷検査(OGTT)による評価では、両群ともに前後での耐糖能、インスリン分泌の有意な差を認めなかった。本内容については、第88回日本内分泌学会学術総会(2015年4月)、第58回日本糖尿病学会年次学術集会(2015年5月)、第20回国際個別化医療学会学術集会(2015年5月)で報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに実施できた症例の詳細な検討、保存血清を含めた測定を行っている。2型糖尿病症例のリクルートに難渋しており、血糖コントロール目的、肥満について減量目的を主訴に当院内科に入院した症例をリクルートの対象に広げ、ベースラインの評価を継続して行っているが、今後、他施設からの紹介を増やして、症例のリクルートに努めていく。
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Strategy for Future Research Activity |
自身が担当する外来が慶應義塾大学病院スポーツ医学総合センター外来のみとした。運動処方を希望する症例の紹介を含め、具体的な運動処方を実施した上で(KEIO-SENIORで運動耐容能に問題がないことを確認)、高強度運動のプロトコールに組み入れていくことを考慮する。
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Causes of Carryover |
慶應義塾大学病院内科外来での通院患者は高齢者、大血管障害などの合併症を有し、高強度の運動療法の実施に不適切な症例が多く、症例のリクルートに難渋したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
これまでに実施できた症例の保存血清を用いて、詳細な解析(インスリン、アディポネクチン、レプチンなどのアディポカイン、Interleukin(IL)-6などのマイオカインの測定を一括)に努める。また、上記に示した方法に従って症例数を増やし、介入結果を評価していく。 高強度運動については、知見が多くなく、国内外の学会において、同様の研究・検討を実施している研究者、研究機関との情報交換を図る。
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