2015 Fiscal Year Research-status Report
タンパク質の新規酸化修飾産物を用いた脳血管疾患の予防マーカーの開発
Project/Area Number |
26350907
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
山倉 文幸 順天堂大学, 公私立大学の部局等, 教授 (20053358)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川崎 広明 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (40531380) [Withdrawn]
飯泉 恭一 順天堂大学, 医学部, 助手 (30439351)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ニトロトリプトファン / ニトロ化ストレス / 脳卒中易発性自然発症高血圧ラット / SHR-SP / 肝臓 / arginosuccinate synthase |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、昨年度同様、自然発症高血圧-脳卒中易発モデル動物であるSHR-SPを用いて高血圧下で酸化傷害を受けるタンパク質の検索を行った。検出は、我々が発見したニトロトリプトファン修飾をその特異的抗体で検出後、陽性スポットをLC-MS/MSで行った。サンプリングは昨年同様脳卒中発症直前の18週齢の8個体から行い、今年度は肝臓と腎臓からタンパク質を抽出した。肝臓において10酵素:carbonic anhydrase III, catalase, Methylmanonate-semialdehyde dehydrogenase, Bataine-homocysteine S-methyltransferase I, arginosuccinate synthase, 3-Ketoacyl-CoA thiolase, Fructose-bisphosphate aldolase B, Glyceroaldenyde-3-phosphate dehydrogenase, Thiosulfate sulfurransferase, Hydroxyacyl-coenzyme A dehydrogenase にニトロトリプトファンが検出され、それぞれウエスタンブロット上で対照のWKYラットよりSHR-SPラットで強いシグナルが見いだされた。これらの中で、6種の酵素に関してはニトロ化されたTrp残基の位置も同定された。またこれらの中で、arginosuccinate synthaseは一酸化窒素代謝に関係する酵素であるので、今後詳しく解析予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
血清において見いだされ、本研究の目標であったアポEタンパク質のニトロ化トリプトファン生成が肝臓に於いても見いだすことが出来なかった。LC-MS/MSの検出条件等も検討したが、心臓、脳、肝臓のいずれも見いだせなかった。そのため、当初の計画であった、「ラット血中にニトロ化アポEを投与して血管および脳組織での動脈硬化等の病態を調べる」という介入実験は断念する事にした。方向を変え、し、そのニトロトリプトファン修飾とSHR-SPでの症状との関連を探ることを考えた。
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Strategy for Future Research Activity |
前述の様に、SHR-SPの各臓器で特異的に見いだされたニトロトリプトファン含有酵素のうち、血圧調整と脳卒中に関与しそうな酵素に注目する事とした。 特に、SHR-SPの肝臓でニトロトリプトファンが増加している酵素のうち、血圧の調整に関連する可能性が考えられる、arginosuccinate synthaseに注目し、高血圧発症との関連を追求する事方向を変える。同じ酵素の腎臓でのニトロ化を今年度検討することにした。腎臓の酵素は、一酸化窒素の代謝に重要な役割を持つことが知られていて、血圧の調整に深く関わっている。
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