2014 Fiscal Year Research-status Report
メラトニンは蛋白糖化最終産物とその受容体を制御するか
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26350917
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
米井 嘉一 同志社大学, 生命医科学部, 教授 (40191655)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | メラトニン / 睡眠 / 糖化ストレス / 生活習慣 / 予防医学 / 蛋白糖化最終産物 |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】様々な加齢関連疾患の発症に蛋白糖化最終生成物(AGEs)、さらにAGEs受容体(RAGE)を介した炎症反応が関与する。AGEs生成過程では酸化、架橋形成など種々の反応が関与するが、睡眠やメラトニンとの関連が注目されている。H26年度は糖化ストレスと睡眠との関連について知見を得る目的で、ヒトにおける糖化ストレスとメラトニン分泌の関係、培養マイクロファージAGEs/RAGE系へメラトニンが及ぼす影響についての研究を計画した。 【方法】臨床検討では、自立生活を営む高齢者25例(男 14例、女11例、73.2±6.5歳)を対象とし、夜間蓄尿検体中メラトニン代謝産物(6-ヒドロキシメラトニンサルフェート: SaMT)を測定、各種身体指標との関連について解析した。培養細胞実験では、マウスマクロファージ様細胞株RAW264.7を用い、AGEsで刺激した際の炎症性サイトカインTNFα産生量を測定した。 【結果】臨床検討では、メラトニン分泌量を反映するSaTM排出量はデヒドロエピアンドロステロン硫化物(DHEA-s)と負相関を認めた(r = -0.479, p = 0.028)。DHEA-sは加齢に伴い減少するホルモンであることから、DHEA-s低値者では代償性にメラトニン分泌が亢進している可能性がある。SaTM排出量は2合/日以内の飲酒量では飲酒量と相関していた(r = 0.600, p = 0.004)。皮膚蛍光性AGEs量との関連は認められなかった。培養細胞実験では、マクロファージ由来TNFα量は遊離型AGEs よりも蛋白結合型AGEsによる刺激で容量依存的に増加した。本実験系に対するメラトニンの効果については現在実験途中である。 【結論】睡眠に関与するメラトニンは身体老化の指標に関連することから、糖化ストレスとの関連についても引き続き検討することが重要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
第一の理由として、メラトニンのAGEs生成抑制作用について再現性が得られなかったことにある。第二の理由として、AGEsによるマクロファージを刺激してTNFαを測定する培養細胞実験において、AGEsの調整に手間取ったことが挙げられる。どのようなAGEsがマクロファージを刺激するかについてはこれまで文献的報告は極めて乏しい。培養細胞はヒト由来細胞では安定した結果が得られず、最終的にマウスマクロファージ様細胞株RAW264.7を用いた。刺激物質としてlipopolysaccharide, pentosidine, carboxymethyl-lysine (CML) , CML化ヒト血清アルブミン (CML-HSA) , carboxyethyllysine, 3-deoxyglucosone, glyoxal, methylglyoxal, AGEs化蛋白 (HSA, keratin, collagen-peptide)を試み、CML-HSA刺激が最も安定することを確認した。培養細胞実験系が安定したので、本年度における成果達成については問題ないと判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
第一の理由に対する対策として、メラトニンのAGEs生成抑制作用について再確認する必要がある。ヒト血清アルブミン、1型コラーゲン、2型コラーゲンなどを対象蛋白として、AGEs生成抑制作用を評価する。評価するAGEsについてはpentosidine, CML, 蛍光性AGEsも含める。第二の理由に対する対策として、AGEs刺激マクロファージに対するメラトニンの作用を評価する上で、対象とする細胞の種類をいくつか変えて実験を行う。マクロファージ細胞としてマウス由来、ヒト由来、破骨細胞由来の培養細胞を用いる。これらの課題を終えたあとに、AGEs排泄機構(OPH・プロテアソ-ム活性)に対するメラトニンの作用についての検討を行う。
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Causes of Carryover |
第一にメラトニンのAGEs生成抑制作用に再現性がみられなかったこと、第二にAGEsによるマクロファージを初激してTNFαを測定する培養細胞実験において、AGEsの調整に手間取ったのが理由である。培養細胞はヒト由来細胞では安定した結果が得られず、最終的にマウスマクロファージ様細胞株RAW264.7を用いた。マクロファージを刺激するために各種AGEsを試みたが、安定した結果が得られず、最終的にCML化アルブミンを用いる系を確立した。これまでの段階ではメラトニンを使用しなかったため、消耗品費は大学からの補助金より支出し、本研究費からは捻出しなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
第一の理由に関して、メラトニンのAGEs生成抑制作用について再確認する必要がある。ヒト血清アルブミン、1型コラーゲン、2型コラーゲンなどを対象蛋白として、AGEs生成抑制作用を評価する。評価するAGEsについてはpentosidine, CML, 蛍光性AGEsも含める。第二の理由に関して、AGEs刺激マクロファージに対するメラトニンの作用を評価する上で、対象とする細胞の種類をいくつか変えて実験を行う。マクロファージ細胞としてマウス由来、ヒト由来、破骨細胞由来の培養細胞を用いる。これらの課題を終えたあとに、AGEs排泄機構(OPH・プロテアソ-ム活性)に対するメラトニンの作用についての検討を行う。
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Research Products
(38 results)