2015 Fiscal Year Research-status Report
メラトニンは蛋白糖化最終産物とその受容体を制御するか
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26350917
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
米井 嘉一 同志社大学, 生命医科学部, 教授 (40191655)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 糖化ストレス / 蛋白糖化反応最終生成物(AGEs) / 睡眠 / メラトニン / AGEs分解作用 / AGEs架橋切断 |
Outline of Annual Research Achievements |
糖尿病合併症など糖化ストレス関連疾患の発症には蛋白糖化最終生成物質AGEs (advanced glycation endproducts)及びRAGE (receptor for AGEs) が関与し、また睡眠不足は皮膚におけるAGEs蓄積を増大することが示されている。H27年度目標として、糖化ストレスと睡眠を結ぶ要因として睡眠関連ホルモンであるメラトニンに着目、そのAGEs生成抑制作用、AGEs分解促進作用、AGEs/RAGEシグナル抑制作用について検討した。 結果として、in vitro ヒト血清アルブミン/グルコース反応系ではメラトニンはAGEs生成を抑制せず(Moniruzzamanら: Glycative Stress Research 3: 1-4, 2016)、培養マクロファージ反応系ではメラトニンはAGEs/RAGE刺激起因性TNFα産生を抑制しなかった(Mamun Or Rashidら: Glycative Stress Research 3: 2016, in press)。メラトニンのAGEs架橋切断率(15%)は陽性対照N-phenacylthiazolium bromide (PTB: 0.4 mmol/L)のAGEs架橋切断率(6%)より高いこと(Takabe ら: Glycative Stress Research 3: 38-43, 2016)が示され、メラトニンがAGEs分解促進活性を有することが示された。 睡眠不足により皮膚AGEs蓄積量が増加する原因として、一部にメラトニンが関与すること、作用機構としてメラトニンによるAGEs架橋切断作用が示された。糖化ストレスによる合併症を予防するためには、睡眠不足を避け、睡眠の質を高く保ち、自分自身のメラトニン分泌を促すことの意義が確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
これまで睡眠関連ホルモン メラトニンが糖化ストレスに及ぼす影響は明らかでなかったが、①AGEs生成抑制作用がないこと、②AGEs/RAGE活性化には影響を及ぼさないこと、③AGEs分解促進作用が確認でき、論文発表ができた。
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Strategy for Future Research Activity |
実験動物としてマウスを対象に加齢に伴う生体指標を推移を観察する。メラトニン分泌に関しては蓄尿中のメラトニン代謝産物を経時的に測定する。方法としては、代謝ケージを用いて経時的に代謝状態の測定、尿・糞検体を用いて加齢に伴う生体指標を測定する。糖尿病自然発症モデルマウス(db/dbマウス)とWild typeマウスとで比較することにより、糖化ストレス負荷によるメラトニン分泌の変化と糖脂質代謝指標との関連について解析を行う予定である。
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Research Products
(4 results)