2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26350919
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Research Institution | Kansai University of Welfare Sciences |
Principal Investigator |
中谷 謙 関西福祉科学大学, 保健医療学部, 准教授 (90441336)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福永 真哉 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 教授 (00296188)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 高齢者 / 認知機能 / 視覚 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、広い視空間における視線探索能力および視線走査パターンについて、眼球運動測定システム(以下、アイカメラ)を用いて検討することを目的としている。対象は脳損傷例群と健常群(高齢者、若年者)で、各群の視覚認知能力と視線走査パターン等を分析する。加齢により視空間認知能力が低下し、日常生活場面に支障をきたすことがある(例:転倒、衝突)。また、脳損傷後にしばしば出現する半側空間無視では、左右方向の無視症状のみならず、その症状の多様性が指摘されている。今回の実験設定では日常生活場面に近い状況設定を行い、広い視空間での視覚認知能力と視線走査パターンに着目した。本研究で得られた結果は、視覚認知能力が低下した脳損傷例や高齢者の症状の理解と有用な援助、症状の多様性の理解、有効なリハビリテーションプログラムの立案に発展させたいと考えている。 本研究は4年計画で実施する。研究2年目となる本年度は、健常高齢者を対象とした実験を行い、そのデータを収集した。当初の実験計画に沿って、対象エリア(スクリーン)を6つのゾーンに分割した広い面積に課題を提示した際の視線走査、障害物を設置した空間内を車椅子で移動する際の視線走査を記録した。実験遂行中、被験者から気分不良の訴えや機器トラブル等は発生せず、円滑に実験を遂行することが出来た。健常者の視線走査を分析するためのベースラインデータとして、意義あるデータを収集することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
4年間の研究計画では、初年度で主となる実験機器の手配を完了し、本年度からはデータ収集開始としている。本年度は健常高齢者13名(72.5±3.7歳)と脳損傷例1名のデータを収集した。健常高齢者群は、広い視覚探索課題で全問正答が可能であり、障害物を設置した空間内の移動でも、適切に視線走査を行い、障害物との距離感を把握できることが示された。来年度以降の実験およびデータ分析のためのベースラインデータが得られた。概ね順調に研究が進行していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は4年計画の3年目にあたる。予定通りに2年目で健常高齢者を対象としたデータ収集が完了したため、今後は健常若年群と脳損傷群のデータ収集を実施する。実験計画の大幅な変更はなく、実験Ⅰでは、二次元の広い視空間での視覚探索能力と視線走査パターンのデータ、実験Ⅱでは、三次元空間における対象物との距離感の把握と視線走査パターンについて検討する。本年度、実験遂行中のトラブルや被験者からの気分不良等の訴えはなかった。被検者に侵襲性がある実験計画と内容ではないが、引き続き、安全面に万全を期す。 当初予定していた研究費が残った理由は、勤務先に近接する施設を利用してデータ収集を行うことが出来たため、旅費が発生しなかったことが大きい。次年度は、実験とデータ収集のための旅費等が発生するので、その費用として使用する予定である。
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Causes of Carryover |
当初予定していた研究費が残った理由は、勤務先に近接する施設を利用してデータ収集を行うことが出来たため、旅費が発生しなかったことが大きい。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、実験とデータ収集のための旅費等が発生するので、その費用として使用する予定である。
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Research Products
(8 results)