2016 Fiscal Year Research-status Report
周産期と乳児期初期をつなぐ生後1ヶ月齢児の脳・身体活動から探るヒトの発達の連続性
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26350924
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡辺 はま 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 特任准教授 (00512120)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 脳機能発達 / 新生児 / 早産 / 運動発達 |
Outline of Annual Research Achievements |
新生児期から生後半年までの乳児のNIRSを用いた脳機能計測のデータを包括的に解析、検討した。その結果、脳血流中の酸素化ヘモグロビンと脱酸素化ヘモグロビンの濃度変化の位相関係に関する発達的変化を明らかにすることができた。この関係性を示す指標をHemoglobin Phase of Oxygenation and Deoxygenation(hPod)と命名した。この指標は、定型発達における変化を示すだけではなく、早産などによる非定型発達の道筋を解明するための有用な指標となることが示唆された。本知見は科学論文として掲載された。また、H27年度に開始した多チャンネルのNIRS計測を、病院の小児科にて継続的に実施し、データを蓄積することができた。運動発達に関しては、これまで取り組んできた自発運動および随意運動の発達的変化について、その意義を考察した。これは総説論文として掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
課題実施期間の後半を迎え、脳機能発達および運動発達に関して明らかになった知見を、それぞれ論文としてまとめることができた。このことにより、理論的考察を深めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
多チャンネルNIRSによる計測データを蓄積してきた。このデータを解析・検討することにより、より高い空間分解能での新生児期・乳児期前半の脳機能の発達を明らかにすることが期待される。脳の異なる部位で、分化した発達過程が見られるのかどうかを検討する予定である。また、これまで脳機能計測は、NIRSを用いておこなっていたが、今後、脳波による脳機能計測を導入することとした。これにより、より時間分解能が高い計測が可能になることが期待される。瞬時の生体応答を捉えることを目指す。
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Causes of Carryover |
より高い時間分解能で脳の機能発達を検討するために、次年度に脳波計による計測を実施することにした。そのため、研究協力者の乳児を募り、計測を実施するための費用(旅費、消耗品費、通信費)が必要となるため、本年度の経費を節約し、次年度に使用することとした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
生後半年未満の乳児を対象とした脳波計測実験における、研究協力者の来訪に関わる旅費、消耗品費、通信費として使用する予定である。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] Hemoglobin phase of oxygenation and deoxygenation in early brain development measured using fNIRS.2017
Author(s)
Watanabe, H., Shitara, Y., Aoki, Y., Inoue, T., Tsuchida, S., Takahashi, N. & Taga, G.
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Journal Title
Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America
Volume: E1737-E1744
Pages: E1737-E1744
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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