2015 Fiscal Year Research-status Report
幼児における唾液コルチゾールの概日リズム形成に影響する生活環境因子の解明
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26350927
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
村上 亜由美 福井大学, 教育地域科学部, 准教授 (50321146)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹内 惠子 福井大学, 教育地域科学部, 准教授 (70313723)
岸本 三香子 武庫川女子大学, 生活環境学部, 准教授 (80312130)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 幼児 / 概日リズム / 幼稚園 / 唾液コルチゾール / 生活習慣 |
Outline of Annual Research Achievements |
唾液コルチゾール濃度の概日リズムの有無は、生体の概日リズムの有無の指標となり、健康状態に関連していると考えられる。本研究では、幼児における唾液コルチゾール濃度の概日リズム形成に影響する生活環境因子を解明し、幼児の健全な発達に寄与することを目的とした。 昨年度と同様の調査を継続し、保護者の同意が得られた幼稚園に通う4~6歳児11名とその母親を対象とした。調査は、平成27年7月の連続する3日間に実施し、食事調査、生活習慣、健康状態のアンケート調査を行い、さらに生活活動記録と体重からエネルギー消費量を概算した。唾液コルチゾール濃度の測定には、起床時、起床時30分後、登園時、降園時、就寝時の5回唾液を採取し、SALIMETRIC社のSalivary Cortisol EIA Kitを用いた。重複している5名分を除いた、2年間の対象者22名分を解析した。 兄姉がいる幼児と兄姉のいない幼児との生活習慣、食習慣及び概日リズムの差違について検討したところ、兄姉がいる幼児(11名)の就寝時刻は、いない幼児(11名)より有意に遅かった。平日起床時刻は、兄姉がいる幼児は、いない幼児より有意に遅かった。休日起床時刻と平日睡眠時間には差はなかった。兄姉がいる幼児は、いない幼児よりエネルギー消費量及び摂取量ともに、高い傾向にある一方、テレビゲームで遊ぶことがある割合は高かった。食品群別摂取量をみると、兄姉がいる幼児は、いない幼児より牛乳・乳製品の摂取量は有意に低く、肉の摂取量は有意に高かった。兄姉の有無と唾液コルチゾール濃度の概日リズムの有無には、関連性がみられなかった。 兄姉がいることにより、起床や就寝時刻、日中の活動内容、食事内容などに影響を受けていた。それによる体調への悪影響は認められなかったが、兄姉がいる幼児の発達段階に応じた生活習慣の形成には、配慮が必要であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2年間継続した調査を実施したことで、1年目の調査協力者は16名、2年目の調査協力者は11名とデータを蓄積することができた。そのため、目的とする唾液コルチゾール濃度の概日リズム形成と生活習慣因子との解析を進めることが可能となった。 起床時及び登園時の唾液コルチゾール濃度は、体格指数、活動量、食品群別摂取量などの影響を受ける可能性のあることを示唆する結果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
概日リズム形成との生活習慣因子との関連については、さらに解析が必要であるため、3年目も、1、2年目と同様の調査を実施し、調査協力者を募り、データの蓄積を試みる。 得られたデータにより、起床時及び登園時の唾液コルチゾール濃度との関連性がみられた、体格指数、活動量、栄養素及び食品群別摂取量などに特に着目して、概日リズム形成への影響を解析する。
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Causes of Carryover |
調査協力者数が予定より少なかったため、唾液コルチゾール濃度の分析経費が低くなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
調査を継続して実施し、唾液コルチゾール濃度の分析経費に充てる。 また、研究成果の学会発表、論文投稿の経費に充てる。
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