2015 Fiscal Year Research-status Report
離島社会における子どもの身体・健康・医療に関する文化的知識と行動パターン
Project/Area Number |
26350932
|
Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
道信 良子 札幌医科大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (70336410)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加賀谷 真梨 国立民族学博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 研究員 (50432042)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 子ども / 医療 / 健康 / 離島 / 人類学 |
Outline of Annual Research Achievements |
子どもの健康と離島の社会構造・医療環境との相関に関する文化人類学、公衆衛生学的調査を利尻島と波照間島で行った。利尻島では、主に鬼脇と仙法志地区の地域構造やその変化について文献調査(地理学研究や町史)とインタビュー調査を通して明らかにした。本土との関係を含むより大きな政治・経済的文脈を視野に入れた文献調査は、文献の数が限られていることから十分に行われていない。利尻島の医療福祉環境や子育て支援について、利尻富士町総合保健福祉センターの職員を対象に専門家インタビューを行い、その実態を調査した。鬼脇と仙法志で実際に子育てを行なっている世代から、島の医療設備や医療体制、子どもの健康や育ちについての考えを聞いた。離島の住民と医療者との関係性については聞き取りを通じて一部明らかになったが、島に流布している医療の意味や言説については、記録資料の収集が十分でなく、引き続き調査が必要である。子どもの保健行動について、小学校での参与観察、放課後や休日の活動への参加を通じて調査した。子ども向けワークショップの開催に必要な市民活動の理論や実践に関する文献の調査を実施した。波照間島では、波照間小中学校長に本科研への調査協力を依頼し、PTA総会での調査依頼書の配布、承諾書の回収を了承して頂き、4世帯の家庭から親子双方へのインタビュー調査の協力を得ることができた。但し、加賀谷が7月に出産し年度内の研究活動が中断したため、インタビュー調査は平成28年度に延期した。本年度の成果は北海道医療新聞に連載し、加賀谷が編者の1人として加わった比較家族史学会編 『現代家族ペディア』(弘文堂)が7月に刊行された。以上の結果及び成果をふまえて、次年度は島が位置づく医療圏全体の医療環境を文献調査で明らかにする。また、子どもの健康にかかわる知識と行動パターンを離島の社会構造と医療環境との相関で分析を進め、研究の総括を行う。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現地調査はほぼ計画通りに行われている。ただし、研究分担者の調査に中断があった。研究成果は順次に公表されている。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度は島が位置づく医療圏全体の医療環境を文献調査で明らかにする。また、子どもの健康にかかわる知識と行動パターンを離島の社会構造と医療環境との相関で分析を進め、研究の総括を行なう。波照間島では延期された調査を確実に行なう。研究の成果を海外の学会で発表する。
|
Causes of Carryover |
研究代表者の利尻における調査回数が計画に満たなかった。研究分担者が、7月に出産し年度内の研究活動が中断した。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
利尻島における現地調査の回数を増やす。延期されている波照間島におけるインタビュー調査を行う。
|
Remarks |
道信良子--札幌医科大学医療人育成センター教養教育研究部門
|
Research Products
(5 results)