2015 Fiscal Year Research-status Report
空間的保育環境が身体発達に与える影響の交差時差分析-散歩は園庭に代替可能か-
Project/Area Number |
26350933
|
Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
野中 壽子 名古屋市立大学, 人文社会系研究科, 教授 (10164716)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 幼児 / 保育所 / 園庭環境 / 活動量 / 身体機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
H26年11月(3歳後半)に実施した3種類の調査(①身体活動量:ライフコーダにより保育時間中の活動量と活動強度を10日間調査 ②活動内容調査:幼児の活動内容を観察者が記録 ③運動能力:立幅跳び,両足跳び越し,跳び越しくぐりの3種目を測定)を、本年度は5月(4歳前半),11月(4歳後半)の2回実施した。3歳後半と4歳後半の午前中の活動中における10日間の1時間あたりの平均歩数を,園庭の広いA園と狭いB園で比較すると、3歳児後半:A園2115.5(±411.8)歩、B園1670.3(±151.6)歩(P<0.01),4歳後半:A園2566.0(±194.0)歩、B園1995.5(±242.6)歩(P<0.001)で、A園の方が有意に高かった。また、標準偏差の値がA園では4歳後半の方が低くなり、個人差が縮小したことを示した。しかし、運動能力調査では3期を通してA園の方が高い傾向はみられたが,両足跳び越し以外は有意な差ではなかった。調査対象とした2園は同一市内の公立保育所であることから,保育内容や保育者の資質など,園庭環境以外には差異はないと考えられ,実際に調査期間中の日々のスケジュール,行事は両園でほとんど同じであったが、活動内容をみると,A園では園庭で追いかけっこやスクーターこぎ競争など,強度の高い活動がみられたのに対しB園ではみられず,また,園外に出かけた時にA園の幼児は鬼ごっこをしている姿がみられたが,B園の幼児にはみられなかった。このように,園庭環境は運動能力に顕著な差はもたらしてはいないが,多様な動きの獲得に影響を及ぼすことが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
同一保育所において半年ごと、3期にわたる調査を完了することができたことにより、概ね順調に進展しているといえるが、結果が予測とは異なったものとなっていること、その要因の一つにB園の園庭環境により運動能力の測定項目に走運動を入れることが困難であるという制約があったことが挙げられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究の結果、仮説と異なり園庭環境は運動量に影響を及ぼしたが,運動能力に顕著な差はみられなかったが、園庭環境の影響は5歳児以降に顕在化する可能性があり,H28年度に引き続き運動能力測定の実施を予定している。また,運動能力測定は、園庭の狭いB園の園庭環境の制約から力発揮に関わる立幅跳びと調整力に関わる両足跳び越し・跳越しくぐりのみを行っていたが、走運動に関わる測定項目を加えることを検討する。さらに園庭での遊びに含まれる動作を詳細に分析して,園庭環境が多様な動きの発現に関与しているかを明らかにし,5歳時点での運動能力との関連を検討していく。
|
Causes of Carryover |
最終年度に実施予定の分析に必要なソフトウェアを予定では今年度中に購入予定であったが、次年度に回すこととしたため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
最終年度は当初計画では結果の分析および研究成果の発表を重点的に行う予定であったが、運動能力測定を引き続き実施することとし、そのための研究協力者への謝金と分析のためのソフトウェアの購入、謝金に使用する。
|
Research Products
(2 results)