2014 Fiscal Year Research-status Report
19世紀末-戦間期ヨーロッパにおける子どもの権利思想・制度史に関する基礎的研究
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26350940
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
塚本 智宏 東海大学, 札幌教養教育センター, 教授 (20183866)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 子どもの権利宣言 / K.N.ヴェンツェリ / ロシア革命 / 児童法 / 児童保護 / 子どもの権利 / 国際情報交換 ロシア |
Outline of Annual Research Achievements |
9月4日から9月17日まで、今年度の計画であったロシアにおける資料調査並びに研究懇談を行い、その成果を、10月の第58回教育史学会において「20世紀初頭ロシアの子どもの権利・児童法制度をめぐる思想動向と児童保護問題」と題して報告することができた。 モスクワ調査に先だってノボシビルスクの教育大学教授(教育史研究専攻)タチアーナ・パブロワ教授と研究懇談を行い、近年のロシア教育史研究動向並びに資料の所在について情報提供を受けた。モスクワでは、ロシア国立図書館(旧レーニン図書館)にて帝政期のロシア内外の児童保護関連調査資料並びに近年の関連博士論文を入手し、また、ウシンスキー教育学図書館にて、K.N.ヴェンツェリ研究のための諸資料を入手した。 今回の調査・研究報告において、まず、(1)子どもの権利史上 20世紀初頭において最も注目される文書の一つ、1917年「子どもの権利宣言」(案)を発表していたヴェンツェリの活動と著作に関わる資料(1905-1922)を系統的に収集することができ、また、その活動の歴史的プロセスをかなりの程度で解明することができたことが最大の収穫であるが、これに加えて、(2)当時のヨーロッパの子どもの権利論並びに児童法・保護制度の動向と連動する1912-13年のロシアの教育家M I.レヴィーチナや法律家P.I.リュブリンスキーの活動を発掘することができ、今後の本研究の新しい展開にとって重要な成果となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、国際的な児童保護・子どもの権利の歴史関係資料の発掘とこれに基づく19世紀末から戦間期に至るヨーロッパの子どもの権利思想並びに1924年のジュネーヴ子どもの権利宣言に代表される国際的な児童保護・権利擁護の活動や理念また制度の形成過程を、子どもの歴史的実態とともに解明することを目的としている。 3年間の研究計画では、各年度において、ロシア、ポーランド、スイスで順に調査・研究を進めていく計画であり、初年度の2014年度においては、上記の目的に対応したロシアに関する研究をぼぼ計画通りに進めることができた。また、その一部成果の研究発表も実施することができた。今後はこれに関する論文発表を計画している。
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Strategy for Future Research Activity |
2014年度の資料開拓並びに研究発表の作業を進める中で、欧米での同種の研究成果・文献を新たに入手することができ、本研究の対象期である子どもの権利・児童保護史の初期段階としての錯綜した構造も見え始めている。各国で推移する事態とまた国際間で推移する事態とを合わせて、これらの歴史的推移に関する理論的な仮説の設定も課題となっている。2015年度以降の研究において年度別の研究作業とともにトータルな理論研究の課題を深めていくことがあわせて重要な課題と考えている。
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Causes of Carryover |
第一に、当初計画していたノートパソコンとデシタルカメラの購入が低価格で済んだ。 第二に、当初計画していたモスクワでの研究懇談が果たせず、人件費・謝金が未使用のままとなった。主として、この二つの理由によって、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度のポーランドでの研究滞在期間を当初計画より長期に計画しており、旅費並びに人件費の増額にあてる計画である。
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Research Products
(1 results)