2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26350944
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
畑 忠善 藤田保健衛生大学, 保健学研究科, 教授 (70267954)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮田 昌史 藤田保健衛生大学, 医学部, 講師 (00387721)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 心筋再分極時間 / QT variability index / 生後1ヵ月検診 / 在胎週数 / 自律神経の生後発達 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究の背景:体表面心電図において活動電位持続時間を意味するQT時間は先行するRR間隔に依存した変動を有する.この変動性を数値化したVariability Index(QTVI)は催不整脈性基質の評価法として臨床応用されている.高い心拍数ではT波終点の判読が不可能なために,小児期の再分極時間変動性に関する検討は少ない.研究の意義:安定した計測が可能なT波頂点を用いて、早期再分極時間JTpのVariability Index(JTpVI)を算出し年齢別の基準値を提示する.さらにQTVIとの相関性の評価を行い,心筋再分極不安定性の指標として応用可能であるという仮説を検証する.方法:基礎心疾患を否定された児童595名と健常大学生57名の計652名である.CM5誘導を用いて60心拍の連続RR間隔の自動解析を行ないQT時間とJTp時間のVariability Indexを算出した.年齢別に1ヶ月未満(n=70),1ヶ月(n=184),2~6ヶ月未満(n=18),6~12ヶ月未満(n=27),1~2歳未満(n=52),2~3歳未満(n=47),3~4歳未満(n=43),4~5歳未満(n=40),5~6歳未満(n=45),6~7歳未満(n=40),7歳(n=29),大学生(平均21歳,n=57)の12群に分類し比較検討した.結果:QTVIとJTpVI値は高い相関性を有することを確認した. さらにQTVI,JTpVIはともに生後変化を示し,3歳以降は健常大学生と同等の値を示した. 重要性と新規性: QTVIとJTpVIは有意な正の相関関係を持つことから,貫壁性と心外膜心筋の再分極は先行心周期に同様に追従することが示された.また,JTpVIの年齢別基準値の漸減性変化は自律神経平衡の生後変化に近似していることが判明した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
体表面心電図のインターバル解析から得られた知見として、健常児童におけるJTpVIはQTVIと高い相関関係にあり,QTVIと同様に心筋再分極不安定性の評価指標として有用であることが示唆された.そしてJTpVIの生後変化は自律神経入力の変化,つまり生理的な自律神経系の発達に加え,心筋細胞の機能における成熟度が寄与していると推測された.今後は,病的心における心電図分析を進め,その中で自律神経機構の異常による影響と,病的心筋の再分極異常を分離する研究を進める必要があると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られた健常児童595名の心筋再分極特性値をひとつの基準値と考えて以下の研究を進める。現在進行している1か月検診児童の心電図(200名)から得られた再分極特性値QTVIについて、児童の発育プロフィール指標(在胎週数、出生時体重、出生時身長、Apgスコア、体重・身長・頭囲増加率)との相関を検討し、予想通り在胎週数とQTVIには負の相関を認めている。今後の研究推進方策として、在胎週数の短い児童(早産児童)の心電図記録を増やして統計処理を進める。そこで、心周期と心筋再分極の関係(特性比)には自律神経支配の成熟度が反映されることを明示する。結果、早産児童の自律神経の発達(成熟度)を心電図から読み取ることが可能となり、視点を変えれば病態(中枢性もしくは心原性)の存在を推測する指標にもなり得る。我々は自律神経機構の異常による影響と,病的心筋の再分極異常を分離する研究を構築して進める必要があると考える.そこで心電図と同時に動的心機能記録を行い、中枢性もしくは心原性の分離を図ろうと考え、記録装置の応用(購入)を検討しいている。
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Causes of Carryover |
新生児から乳児、学童に対して体表面心電図記録を行ない、心筋再分極時間のサブインターバル解析と再分極特性値を算出してきました。研究の推進方策に、新たな動的心機能評価を加えることとし機器物品の調査に時間を要したため、報告書に示す使用額に差異が生じました。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本研究を発展させる為には動的心機能を非侵襲的にデジタル化して取得する必要があります。現在購入を検討している心拍出量モニター「エクスロン ミニ」は新生児にも安全に使用出来る心拍出量計測装置です。これまでの研究内容を高めるためには必要不可欠な機器であり、本年度早々に購入予定です。
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Research Products
(4 results)