2015 Fiscal Year Research-status Report
幼児の身体表現活動における共感的相互作用の解析とその応用
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26350946
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Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
遠藤 晶 武庫川女子大学, 文学部, 教授 (30353006)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 幼児 / 身体表現活動 / 共感的相互作用 / サーモグラフィ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、共感的相互作用の効果を明らかにし、共感的相互作用を活用した指導方法を提案し、苦手意識を持つ保育者や現場の保育に活用していくことである。 27年度は、共感的相互作用の効果を明らかにするために、大学生を対象にした身体表現活動の観察を、手遊び「あんたがたどこさ」に特定し、赤外線サーモグラフィ装置(サーモギア)による測定と、ビデオ2台による観察を行った。調査対象者の額と鼻頭の温度をサーモグラフィの15秒間ごとの測定値をもとに、一人で行う時と3人で行う時の試行前後の変化を比較した。その結果、3人で行ったについては、額の温度は変化しなかったが、鼻頭の温度は低下することが明らかになった。この研究により、①手遊びにおいて、他者との共感的相互作用によって快の感情が亢進すること、②快の感情は、額と鼻の温度により測定できる可能性が示された。3人で行う手遊びは他者との共感的相互作用によってリラックスした状態で手遊びが行われており、さらに遊びに対する意欲が高まっていたことが示された。 さらに、幼児の身体表現活動における共感的相互作用について、サーモグラフィを利用した観察方法の検討を行った。幼児の共感的相互作用を示す基礎的データの収集のために、日常の遊び場面でサーモグラフィを利用した観察を行った。幼児を対象とした共感的相互作用の調査方法については、動きを伴うため集団でのサーモグラフィを用いたデータ収集は困難であったが、小集団による観察場面を設定することで幼児の共感的相互作用の観察が可能であることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3年の研究計画のうち (1)身体表現活動における共感的相互作用の観察方法の開発を行い、 (2)幼児を対象にした身体表現活動における共感的相互作用の観察を実施した。 (3)共感的相互作用の効果の解析については、①身体表現活動における、保育者と幼児同士の共感的相互作用を解析するところであるが、観察対象が動きを伴うため集団でのサーモグラフィを用いたデータ収集は困難で、幼児と保育者の双方の手、足、顔面の皮膚表面温度を同時に記録することができなかった。 幼児を対象とした共感的相互作用の調査方法については、ビデオ観察を並行することで幼児の快感情と、動きの定着、遊びの難易度、幼児の興味の対象、遊びの展開など遊びの流れとの関連からの分析も必要である。 今後は集団での身体表現の活性化に結び付く保育者の言葉かけや行動を解析する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度は、1 幼児の観察を継続的に実施する。2 H27年度以降の観察結果のまとめと解析を行う。 そのために、幼児と保育者の共感的相互作用により幼児の快感情がどのように変化するか、集団での身体表現の活性化に関連する保育者の言葉かけや行動について解析する。また、保育者の関わりと、幼児の共感的相互作用の年齢的特徴について比較検討を行う。3 観察協力保育者へのフィードバックを行う。 観察協力保育者が保育に活用できるように解析結果をフィードバックする。また、言語によるコミュニケーションが苦手で身体感覚が乏しいとされる発達障害児や、発達障害児に準ずる幼児に対しても、本研究で得られた知見が適応されることを保育を通して確認する。
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Causes of Carryover |
①分析協力・専門知識の提供、画像編集補助(学生アルバイト) 、データ処理の補助アルバイトを予定していたが、分析作業が可能であったのでアルバイトを依頼しなかった、②観察協力園の希望で保育観察の人数が多い観察補助を2名にした ③観察協力・専門知識の提供をお願いできたのが1回であった。以上の理由から、人件費・謝金についての残額が生じた。発表印刷代、検討会の残額を合わせて次年度に繰り越すことになった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
幼児の観察継続実施に400千円、H27年度以降の観察結果のまとめと解析に290千円、観察協力保育者が保育に活用できる提供する資料作成に100千円を充てる予定である。
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