2016 Fiscal Year Research-status Report
幼児の身体表現活動における共感的相互作用の解析とその応用
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26350946
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Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
遠藤 晶 武庫川女子大学, 文学部, 教授 (30353006)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 幼児 / 身体表現活動 / 共感的相互作用 / サーモグラフィ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、共感的相互作用の効果を明らかにし、共感的相互作用を活用した指導方法を提案し、苦手意識を持つ保育者や現場の保育に活用していくことである。 28年度は、3歳児・4歳児・5歳児23名を対象に、3人程度の小グループで幼児がよく知っている参加しやすい手遊びを行い、サーモグラフィ(日本アビオニク社、赤外線サーモグラフィ装置サーモギア)による5秒ごとの顔の温度測定と、ビデオ1台による表情や動きの観察を行った。調査対象者の額と鼻頭の測定が可能であった13名の手遊び実施前後の温度測定値による、観察グループ全体として手遊び実施前後の温度変化の検討については有意な差は認められなかった。しかし、個別の検討により、歌いながら表情も明るく積極的に手を動かしている場合は鼻の温度が下降するが、手を動かして模倣はしているが歌うことはなく硬い表情で緊張している場合は、鼻の温度の上昇傾向が見られた。本研究を通して、幼児の手遊びにおける共感的相互作用を確認する方法として、サーモグラフィによる顔の温度変化測定が有用であり、他者との遊びへの積極的なかかわり度合い、つまり共感的相互作用の強さに応じて顔の温度変化に差が見られることが示唆された。 また、保育における幼児と保育者の共感的相互作用の実際を理解するために、1歳児と保育者のふれあい遊びの観察事例を通して検討した。1歳児は、保育者にしてもらう遊びへの関心をもち、ふれる・揺れるなどの身体への刺激を求め、リズムに合わせ、模倣・表現欲求を高めていた。幼児にふれあう保育者は、幼児の様子に応じて遊びを臨機応変に展開し、他児との関係調整に配慮し、複数の1歳児を対象に積極的に関わり、幼児同士が快の感情を共有できるように相互の関係を高めようとしていることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初、28年度に予定していた研究課題のうち、1 幼児の観察を継続的に実施する。 2 H27年度以降の観察結果のまとめと解析を行う。についてはH28年度内に着手できたが、・幼児の共感的相互作用の年齢的特徴についての比較検討、・観察協力保育者へのフィードバックについては研究課題を残している。H29年度に実施し、本研究課題を完了する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
29年度は、1 幼児の共感的相互作用の年齢的特徴についての比較検討、2 観察協力保育者へのフィードバックを行う。1 幼児の共感的相互作用の年齢的特徴についての比較検討のために、楽しく遊べるための環境を用意し、環境に働きかけながら共感的に関わるのか、また共感的相互作用によってどのような遊びを展開するのかについて調査を実施し、年齢的特徴を分析する予定である。2 観察協力保育者へのフィードバックのために、共感的相互作用を活かした指導内容や指導方法についての資料を作成する予定である。
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Causes of Carryover |
H28年度研究では、幼児の観察継続実施及び、観察結果のまとめに621千円を充てたが、幼児の観察継続実施及び、観察結果のまとめと、保育に活用できる資料作成の研究課題を残したために168千円が未使用となっている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
幼児の観察継続実施、観察結果のまとめに68千円、保育に活用できる資料作成に100千円を充てる予定である。
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