2014 Fiscal Year Research-status Report
主観的・客観的評価に基づく親子ふれあい運動の効果検証
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26350952
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Research Institution | Kurashiki City College |
Principal Investigator |
奥富 庸一 倉敷市立短期大学, その他部局等, 准教授 (00375445)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
門田 昌子 倉敷市立短期大学, その他部局等, 講師 (20549620)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 親子ふれあい運動 / 主観的評価 / 客観的評価 / 二次元気分尺度 / 唾液アミラーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、親子ふれあい運動の効果を主観的・客観的に評価し、生活の中に根付かせることによって、乳幼児の生活リズムの改善と自律神経機能の適正化を図ることが目的である。 平成26年度は、養育者に与える親子ふれあい運動の効果を検証するために、心理学的評価法と生理学的評価法によるトライアンギュレーションを行った。対象者が幼児を持つ養育者という特徴を踏まえ、具体的・実践的な場面を設定し、効果測定を行うこととした。調査は集合調査法にて行われ、介入前後で質問紙調査と唾液検査を行った。質問紙調査にはその時の気分状態を測る二次元気分尺度(坂入ら)を用いた。また、唾液検査では、唾液中のアミラーゼを採取し、ニプロ社製の唾液アミラーゼモニターによって分析した。加えて、事後調査のみボルグの自覚的運動強度を測定した。その結果、16名の対象者は、介入前後で活性度や快適度が有意に向上していることが明らかとなった。しかしながら、唾液中のアミラーゼ値は有意な変化が認められなかった。そこで、親子ふれあい運動の自覚的運動強度によって、低群と高群に分け、二元配置分散分析を行ったところ、介入前後で交互作用が認められた(p<0.05)。このことから、親子ふれあい運動は、主観的・心理的に、イキイキと活力ある状態にさせ、快適でポジティブな気分状態にさせることが明らかとなった。一方で、自覚的運動強度の高低によって、客観的・生理的には交感神経系が亢進し気分が高揚した群と、交感神経系が沈静化しリラックス効果を得た群と2タイプ存在することが明らかとなった。先行研究では、介入内容に対する認知が影響する可能性を挙げているが、さまざまな要因について検討しきれていないことから、次年度以降の課題としたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度は、養育者に与える親子ふれあい運動の効果を検証するために、心理学的評価法と生理学的評価法によるトライアンギュレーションを行った。対象者が幼児を持つ養育者という特徴を踏まえ、実験室等の統制された空間ではなく、子育て支援行事という具体的・実践的な場面を設定し、効果測定を行うことができた。また、そこで行われる効果測定の留意事項として、簡便で、心理的負担感の少ないことが重要であると考えた。そこで、心理学的評価法として二次元気分尺度を、また生理学的評価法として唾液中のアミラーゼ測定を行うこととした。近年、唾液中アミラーゼ測定を用いた先行研究が散見されるようになってきたが、その妥当性には見解が分かれるようだが、簡便な検査法として、今回は用いた。その結果、二次元気分尺度による心理学的評価においては、対象者の多くがポジティブで活発な気分状態に変容することが明らかとなったが、唾液中アミラーゼの値は、自覚的運動強度の高低によって、変化が異なっていることが明らかとなった。このことは、大変興味深く、その要因について今後深めていく必要がある。また、異なる対象群に同様の調査を行ったが、その結果について現在まとめているところである。 加えて、関連する研究課題として、そもそも家庭ではどのような遊びを行っているのかについてA市の公立保育所に通う乳幼児を対象とした調査を行うことができた。その中で、子どもの性格気質に焦点を当て、気質特徴に応じた遊びがあることが明らかとなった。 現在までの達成度は、平成26年度中に行った調査および測定の分析が残しているところもあるが、興味深い結果が得られていることから、おおむね順調に進められていると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策として、平成26年度に行った調査の結果分析を急ぎ、親子ふれあい運動の効果を深く検討していきたい。 平成27年度は主に、生理学的評価法に関する研究を行い、唾液アミラーゼ測定に代わる簡便な測定方法を用いて検討する予定である。その上で、再度、心理学的評価法とのトライアンギュレーションを行い、親子ふれあい運動の効果を検証していく。また、平成28年度に主に行う親子ふれあい運動を日常生活に根付かせるための介入調査計画を協力自治体に依頼し、研究フィールドの確保を行っていく。 平成28年度は、日常生活に親子ふれあい運動がどの程度定着しているのか、また、介入研究を通じて、日常生活に根付くことをねらう。そして、そのことによって生活リズムの改善がみられるのかどうかについて検討する予定である。
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Research Products
(4 results)