2015 Fiscal Year Research-status Report
主観的・客観的評価に基づく親子ふれあい運動の効果検証
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26350952
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Research Institution | Rissho University |
Principal Investigator |
奥富 庸一 立正大学, 社会福祉学部, 講師 (00375445)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
門田 昌子 倉敷市立短期大学, その他部局等, 講師 (20549620)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 親子ふれあい運動 / 主観的評価 / 客観的評価 / 二次元気分尺度 / 唾液アミラーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、養育者に与える親子ふれあい運動の効果を主観的・客観的によって検証することを目的に行った。また、親子ふれあい運動を日常生活に取り入れるための関連研究として、幼児の気質特徴に応じた遊びの頻度に関する研究ならびに保育所で運動遊びを積極的に取り入れた場合の運動課題の達成度に関する研究を行った。 まず、養育者に与える親子ふれあい運動の効果に関する研究では、介入A群と介入B群に対し、同様の親子ふれあい運動を実施した。その結果、主観的・心理的評価については、ほぼ同様の結果が得られ、親子ふれあい運動行うことによって、養育者はポジティブな気分状態になることが明らかとなった。一方で、客観的・生理的評価として用いた唾液アミラーゼ値は、両群で異なる結果が得られ、統一した方向性が見いだせなかった。 幼児の気質特徴に応じた遊びの頻度に関する研究では、[否定的感情反応][外向性][注意の転導性]という気質特徴をもつ幼児にとって、[大人との相互作用遊び]の頻度が高いことが明らかとなった。この結果を踏まえ、親子ふれあい運動の効果を検証する上で、養育者との相互作用を伴う遊びを日頃からよく行っている幼児とそうでない幼児とでは、結果が異なってくる可能性が考えられた。 保育所において運動遊びを積極的に取り入れた場合の運動課題の達成度に関する研究では、O市内保育所に通う2~5歳を対象とした1年間のコホート調査の結果、なわとび遊びや鉄棒遊び等の項目で、有意に向上していることが明らかとなった。各園で運動遊びを意識的に取り入れることや運動課題達成度を測定する機会を通じて、運動課題に対する練習効果が生まれ、有意な向上が認められた可能性が示唆された。 今年度の研究実績を踏まえ、研究成果の積み上げとともに、親子ふれあい運動が日常生活に根付くための方策について、検討していくことが今後の課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
親子ふれあい運動の効果を主観的・客観的に評価し、生活の中に根付かせることによって、乳幼児の生活リズムの改善と自律神経機能の適正化を図ることが当初の目的である。 平成26年度、平成27年度と養育者に与える親子ふれあい運動の効果について検討してきた。本研究の特徴として、対象者が幼児を持つ養育者という特徴を踏まえ、子育て支援行事という具体的・実践的な場面を設定し、効果測定を行うことを重視した。また、測定方法が簡便で、心理的負担感の少ないことが重要であると考えた。そこで、心理学的評価法として二次元気分尺度(坂入ら)を、生理学的評価法として唾液中のアミラーゼ測定(ニプロ社製)を用いて調査を行った。 異なる介入群に対して、同様の親子ふれあい運動を実施したところ、主観的・心理的評価については、ほぼ同様の結果が得られ、親子ふれあい運動を行うことによって、養育者はポジティブな気分状態になることが明らかとなった。一方で、客観的・生理的評価として用いた唾液アミラーゼ値は、両群で異なる結果が得られており、統一した方向性を見いだせなかった。引き続き、親子ふれあい運動の実施前後で客観的・生理的評価を試み、その効果について把握する必要がある。したがって、この課題においては、やや遅れていると判断した。 平成27年度からは親子ふれあい運動を日常生活に取り入れるための関連研究を行った。その結果、幼児の気質特徴によって[大人との相互作用遊び]をする頻度の高いことや、保育所において運動遊びを意識的に取り入れることで運動課題の達成度が有意に向上すること等が明らかとなり、親子ふれあい運動が日常生活に根付くための方策について検討しつつある。気質特徴に関する研究は、当初計画されていなかったが、興味深い研究成果であると考え、引き続き取り組んでいくこととする。したがって、本課題については、おおむね順調に進められていると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
親子ふれあい運動の効果を主観的・客観的に評価し、生活の中に根付かせることによって、乳幼児の生活リズムの改善と自律神経機能の適正化を図ることが当初の目的である。 親子ふれあい運動の効果測定を行う上で、二次元気分尺度による主観的・心理的評価は介入前後でほぼ同様の結果が得られていることから、さらに、養育者の子どもに対する対処可能感等の指標を取り入れて、多角的な評価を試みる。また、客観的・生理的評価として、唾液アミラーゼに加え、加速度センサーを取り入れ、身体姿勢や運動量について把握することによって、こちらも多角的な評価を試みる。 くわえて、親子ふれあい運動を日常生活に取り入れるための関連研究として行っている、幼児の気質特徴に関する研究を発展させ、「大人との相互作用遊び」に関するプログラムを作成し、より日常生活に取り入れやすくさせるための研究成果の蓄積を目指す。 平成28年度は、最終年度にあたるため、本研究課題のまとめと今後の課題の整理を行う予定である。
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Causes of Carryover |
研究分担者のところで次年度使用額が出ている。 研究課題のうち、親子ふれあい運動を日常生活に取り入れるための関連研究の中の、気質特徴に関する研究について、研究分担者が主導となって実施している。平成28年度に[大人との相互作用遊び]に関するプログラムを試行する上で、消耗品や会場借入費等の費用がかかることを想定し、平成27年度分の費用の一部を繰り越すことで調整した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
親子ふれあい運動を日常生活に取り入れるための関連研究の中の、気質特徴に関する研究の一部として、[大人との相互作用遊び]に関するプログラムを試行する上で必要な消耗品や会場借入費等の費用に充てる。
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