2014 Fiscal Year Research-status Report
亜鉛フィンガータンパク質の細胞内活性酸素種に対するセンサー分子としての機能解明
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26350962
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Research Institution | Doshisha Women's College of Liberal Arts |
Principal Investigator |
根木 滋 同志社女子大学, 薬学部, 助教 (50378866)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | レドックス / 亜鉛フィンガー / 金属結合 / 過酸化水素 / 転写因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、種々のROSとCys2His2型Sp1ZFPとのレドックス反応メカニズムの解明について検討を行った。特に生体内で広く認められる活性酸素種であるH2O2を用いて酸化実験を行った。3つのフィンガードメインから成るSp1 ZFPの各フィンガードメインと (Sp1-F1,F2およびF3)とH2O2との反応について検討を行ったところ、H2O2の濃度が低い場合は、いずれのフィンガーにおいてもジスルフィド結合が形成され、酸化反応性はドメイン間で大きく異なりF1>>F2>F3の順となった。また、H2O2の濃度が高い場合、フィンガーによって酸化反応による生成物が異なり、F1ではジスルフィド結合のみが形成されるが、F2およびF3では更に酸化が進み酸素が1つ付加した不可逆的な酸化体まで反応が進行する興味深い結果が得られた。フィンガー間の酸化反応性の違いについて考察するために、各フィンガードメインと亜鉛イオンとの結合定数を決定したところ、結合定数の大きさが酸化反応性とは逆のF1<F2<F3となりF1は他のフィンガードメインよりも100倍程度結合定数が小さいことが明らかとなった。この結果から、恐らく酸化反応性はZn(II)との配位結合の安定性に大きく影響を受け、安定な配位結合が形成されることに反応に関与するCys残基のチオール基が保護れることにより酸化が受けにくくなると考えられる。酸素付加体については、これまでにジスルフィド部分にさらに酸素が付加したS-S=O型酸化体が形成されると報告されているが、今回フィンガーのZn(II)結合に関与するCys残基をAla残基に変えた変異体を用いて酸化反応を行ったところ、その場合でも1つ酸素原子が付加した生成物が得られたことから、現在のところS-S=O型酸化体でない別の生成物が酸化反応によりできていると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の計画では(a)Zn(II)との配位結合の安定性、(b)ドメイン構造の安定化に寄与している疎水性コアの構造、(c) Cys残基(SH基)の近傍に位置するアミノ酸残基の影響、の3つの項目を種々の酸化剤を用いて検討することを考えていた。(a)の部分についてはほぼ達成できたと考えている。(b)のドメインの安定性についても現在NMRを用いて温度可変測定することにより検討を進めている。(c)についてはまだ着手されていないが、次年度に検討したいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
概ね研究計画は順調に進行していると考えている。次年度後以降は、上述の検討が十分になされていなかった部分を補完するとともに、申請時の研究計画に記載した、配位子パターンの異なるZFPのレドックス挙動の検討、ならびに酸化型ZFPを用いた細胞内レドックス探索プローブの開発につても研究を開始したい。
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Causes of Carryover |
今年度の計画で一部遂行が不十分な部分があり、その部分を次年度に実験を行うため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に計画遂行の不十分な部分の実験を行うための物品費(主に試薬)に使用する予定である。
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Research Products
(4 results)