2016 Fiscal Year Research-status Report
抗癌剤耐性獲得における熱ショック蛋白質HSPB1の構造機能相関の解明とその応用
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26350963
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
境 晶子 大阪医科大学, 医学部, 講師 (30225750)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 覚 大阪医科大学, 医学部, 非常勤講師 (50595741)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 抗癌剤耐性 / HSPB1 / サイトケラチン / オリゴマー構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
抗癌剤を用いる化学療法において,抗癌剤に対する感受性の低下(耐性獲得)が治療上の問題点となる。申請者は,耐性獲得機序の解明を目的としてプロテオーム解析を行い,5-fluorouracil(5-FU)に対する耐性を獲得した細胞株において発現が増加するタンパク質として低分子熱ショックタンパク質HSPB1を同定し,これが耐性獲得と関連することを示した。本研究では,耐性獲得におけるHSPB1の役割を,そのリン酸化・オリゴマー化・他のタンパク質との相互作用を解析することで明らかにすることを目的とする。 5-FU耐性株においてHSPB1のリン酸化とオリゴマー化の状態を解析した結果,異なる分子量のオリゴマーが存在すること,それぞれの分子量のオリゴマーにおいてHSPB1のリン酸化部位が異なっていることがわかった。また,5-FUとは異なる作用機序をもつ抗癌剤Paclitaxel(PTX)耐性株では,HSPB1のリン酸化部位やオリゴマー化の状態が5-FU耐性株とは異なっていた。HSPB1と相互作用するタンパク質として同定したCytokeratin8,18,19がHSPB1オリゴマーに含まれているかを確認した結果,これらCytokeratinがHSPB1オリゴマーに存在すること,またその存在パターンがPTX耐性株と異なることを見いだした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
5-FU耐性株で注目したHSPB1は,リン酸化や様々な高分子量のオリゴマーを形成することがその活性発現に関与していると考えられている。免疫沈降法によってHSPB1と会合するタンパク質としてCytokeratinを同定したが,これがHSPB1オリゴマーと相互作用しているかを,オリゴマー状態を保ったまま分離できるBlue-Native PAGEで分離した後Western blot解析を行うことで確認した。その結果,これらCytokeratinがHSPB1オリゴマーと相互作用し,またその存在パターンが5-FU耐性株とPTX耐性株では異なることを見いだした。しかし本年度は個人的事情等により研究に割く時間が取れず遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
5-FU耐性株とPTX耐性株におけるHSPB1のオリゴマー化の詳細な検討を行い,その相違点を明らかにする。すなわち,Blue-Native PAGEを一次元目の分離に用い,ゲル中のオリゴマーをSDSで可溶化した後にSDS-PAGEで二次元目の分離を行い,分離したタンパク質をHSPB1抗リン酸化抗体や抗Cytokeratin抗体でWestern blot法にて解析する。これにより,両耐性株のHSPB1のリン酸化状態とCytokeratinとの相互作用の状態を明らかにする。また,HSPB1リン酸化以外の翻訳後修飾についても解析を行う予定である。
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Causes of Carryover |
本年度の計画が遅れているため次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の研究計画を行うため必要となる物品費用に充てる予定である。
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Research Products
(1 results)