2014 Fiscal Year Research-status Report
真菌における分生子形成誘導ジテルペノイドの生合成解析と受容体探索
Project/Area Number |
26350965
|
Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
兼目 裕充 徳島文理大学, 薬学部, 准教授 (10399438)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | ジテルペン / 環化酵素 / 真菌 / 分生子 / 阻害剤 / ドッキングシミュレーション / Penicillium / Aspergillus |
Outline of Annual Research Achievements |
真菌類の生活環の多くを占める無性世代において,分生子形成は伝播・拡散を行うための重要な手段であるが,その誘導メカニズムは不明な点が多く,統一的な理解には未だに至っていない。我々はこれまでに,Penicillium cyclopiumシノニム6種およびモデル真菌Aspergillus nidulansが持つ新規ジテルペン環化酵素オーソログ/パラログのPeDSおよびAnDS1について機能解析を行い,各々の酵素が環化生成する新規ジテルペノイド類が極微量で分生子形成の誘導と菌糸の増殖生長を抑制することを見出した。本研究の目的は,これらの新規ジテルペノイド類と分生子形成誘導の関係を解明するために,ジテルペン環化メカニズムを基盤とする酵素阻害剤の探索・創生,および環化酵素以降の代謝を担う生合成酵素類と受容体を明らかにすることである。 本年度は,PeDSおよびAnDS1立体構造モデルと約3万3000件の化合物ライブラリーを用いたバーチャルスクリーニングによって得られた8種の阻害剤候補化合物の販売が保留されていることから、新たに別の化合物ライブラリー60万件からバーチャルスクリーニングを行った。また、ドッキングシミュレーションによってPeDSおよびAnDS1立体構造モデルと親和性が高いと予測されたAnDS1環化産物のエポキシド誘導体を得るべく,AnDS1環化産物の大量調製とエポキシド誘導化反応を行った。得られたエポキシド誘導体の立体異性体混合物はAnDS1によるGGDPの環化反応のみを阻害したことから,阻害活性本体の精製を行っている。一方,環化酵素以降の代謝を担う生合成酵素の同定と機能解析においては,ゲノム配列上でPeDSの近傍に存在するP450酵素遺伝子について,酵母におけるPeDSおよびP450還元酵素遺伝子との共発現系を構築して検討したが、これまでのところ酸化産物は得られていない。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
大量のドッキングシミュレーションを並列処理できる系を構築できた。また、PeDSおよびAnDS1のリコンビナントタンパクを用いた阻害剤アッセイ系の基盤は整った。PeDSによる環化以降の代謝酵素の同定には至ってはいないが,酵母を用いた共発現系の基盤は整った。また,PeDSおよびAnDS1環化産物の大量調製の基盤が整うと共に,これらを用いた阻害剤への誘導体化と代謝変換による酸化体の調製の基盤が整った。
|
Strategy for Future Research Activity |
ドッキングシミュレーションで得られていた8種の阻害剤候補化合物の購入が国際情勢によって保留となることは予期できなかったが、新たに別の化合物ライブラリー60万件から得られた阻害剤候補化合物で今後の阻害剤アッセイを行い、阻害剤を探索する。一方,AnDS1環化産物のエポキシド誘導体は阻害活性が見られたことから、同様の検討をアジリジン誘導体でも推進していく。PeDSおよびAnDS1による環化以降の代謝酵素の同定には至ってはいないが,うまくいかなかった場合を想定して準備していたKO体の作出による方法も本格的に進める。
|
Causes of Carryover |
ドッキングシミュレーションによって得られた阻害剤候補化合物の販売が国際情勢により保留となったため,これの購入に充てる予定であった金額を次年度に繰り越した。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
新たに別の化合物ライブラリーを用いて行ったドッキングシミュレーションによって得られた阻害剤候補化合物の購入に充てることを予定している。
|