2015 Fiscal Year Research-status Report
マルチモダリティ型分子プローブの創製を目指した機能性分子集積法の開発
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26350971
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
吉田 優 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 准教授 (10583750)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 有機化学 / ケミカルバイオロジー / 分子プローブ / アジド / クリック反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、近年注目を集めているマルチモダリティ型分子プローブの簡便合成を可能にする多分子連結法の開発に取り組んでいる。とくに、既存の手法では複数の繊細な機能性部位を併せ持つ分子の創製は容易ではないことから、研究代表者がこれまでに培ってきたアジド化学を基盤に、「逐次マルチクリック反応」の開発を目指し、本年度は、マルチモダリティ型分子プローブの合成を念頭に、様々なアジド基の反応特性の差と機構の異なる3種の反応条件とを組み合わせて利用し、マルチアジド化合物に対する逐次クリック反応による多分子集積法に関して検討した。検討の結果、機能性部位を集積するためのプラットフォーム分子として、かさ高い芳香族アジド基、一般的な芳香族アジド基、一般的な脂肪族アジド基という環境の異なる3種のアジド基を併せ持つトリアジドを、収束的に合成する手法を開発した。さらに、これらを異種アジド選択的反応でそれぞれ区別して利用することで、3度のトリアゾール形成反応を連続して行えることも明らかにできた。具体的には、まず、ケトアミドを用いる塩基触媒的トリアゾール形成反応を、次に、ルテニウム触媒を用いる末端アルキンとのトリアゾール形成反応を、最後に、シクロオクチン類を用いる無触媒でのトリアゾール形成反応を順に、かつ、高選択的に進行させることができた。これにより、本手法を実際の機能性官能基を有する分子の連結に適用することで、多機能性分子の簡便合成にも利用できることを明らかにできた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
多機能性分子の簡便合成法を計画通りに確立できただけでなく、実際に機能性分子の集積に利用できることを明らかにできたことから、当初の計画以上に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、実際に機能性部位を配置していくことで、本手法の適用範囲を明らかにするとともに、有用な多機能性分子合成への展開を図る。
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Causes of Carryover |
平成27年度は、機能性分子集積法に関する検討が当初の計画よりも順調に遂行できたことから、平成28年度の多機能性分子集積に関する検討に必要な消耗品費として使用することで、より効率的に研究を遂行できると判断したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度の使用額分に関しては、クリック反応を利用した多機能性分子プローブ開発における機能性分子など、消耗品費として使用する計画である。
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Research Products
(11 results)