2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26350988
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
石川 淳子 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30570808)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
美津島 大 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70264603)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 前頭前野 / 扁桃体 / 海馬 / 情動 / 記憶 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、情動を伴う経験の記憶形成が強固に行われるメカニズムを明らかにする。26年度は情動性経験として異性、同性、新奇オブジェクトとの交流経験を用い、これらの記憶形成過程における内側前頭前野と海馬CA1の神経活動を記録した。実験では、記録電極が埋め込まれた雄Sprague-Dawley ラット(10~15週齢)のホームケージに、雌ラット(7~10週齢)、記録動物よりも体重の少ない雄ラット、新奇物体を各10分間入れ、入れる前15分、入れている間10分、取り出した後30分の神経活動を記録した。内側前頭前野と海馬CA1には、状況に応じて様々な発火頻度変化を示すマルチタイプのニューロンが存在していた。また、海馬CA1では、経験後にリップル様イベントが増加した。内側前頭前野にもリップルのような短期間高頻度発火を示すイベントが経験後に出現し、それが海馬CA1のリップル様イベントと同期していた。また、海馬CA1のリップル様イベントはアセチルコリン受容体拮抗薬であるscopolamineで減少した。情動性経験によるこれらの神経活動特性の変化は全ての経験で認められたが、異性との交流経験で顕著であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画とおり、情動性経験の記憶形成過程における内側前頭前野と海馬CA1の神経活動特性を明らかにすることができた。計画では電気ショックを受ける経験も調べる予定であったが、電気ショックを与えながら電気活動記録を行うことにより、記録システムに問題が生じた。このため、不の情動性経験として拘束ストレス経験での神経活動記録を開始した。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度に用いた情動性経験に拘束ストレス経験を加え、引き続き内側前頭前野、海馬CA1、そして扁桃体基底外側核の神経活動を記録する。さらに、情動性経験の記憶形成がこれら3領域を含む神経回路で行われていることを確認するため、GABAA /GAGAB受容体アゴニストであるmuscimol/bacrofenを用いて、記憶形成過程における1領域の可逆的不活性化が他の2領域の神経活動特性に及ぼす影響を調べる。
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Causes of Carryover |
本研究では、実験遂行状況に応じて随時物品を購入している。このため、少額の次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今後も、研究計画を遂行しながら、実験遂行状況に応じて随時物品を購入する。
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Research Products
(4 results)